【越山若水】ひょっとして野外のひな誕生は令和初?―と、早合点をしかけて担当デスク氏に聞いてみると、2日に兵庫県豊岡市で生まれていたそうだ。それはともかく、愛鳥週間に届いたうれしいニュースだった▼越前市のコウノトリの赤ちゃんのことである。きのうの本紙1面を飾った写真は、赤ちゃんがお父さんの「たからくん」と見詰め合っているかのようで、見ていて思わず頬が緩む。このコウノトリ一家は、福井の環境を子育ての場所に選んだ▼コウノトリに関する記事は本数だけでいうと少し減ってきている。関心が薄れたのではない。福井への飛来は、放鳥が行われるようになった2015年以降急激に増え、昨年は最多の114回。飛来は今や「日常のこと」に近づきつつあって、ニュースになるケースが限られるまでになった▼この状況を生み出した人々の努力はいかばかりだろう。多様な生き物が暮らす環境づくり、と言葉にするのは簡単だが立ち止まったら元に戻ってしまう種類の取り組みである。飛来が当たり前になろうとする中、継続している意思は誠に尊い▼愛鳥週間は、前身のバードデーから数えて73回目。人がこれだけ鳥を大事にするのは何も鳥のためだけではなく、鳥が生きる環境ごと将来につなげたいと思うからに違いない。その意義が福井では形になった。たからくんの選択をそのように理解したい。

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