サービス業の精神を利用し「鬱憤晴らし」をする悪質クレーマー。いったいどのように対処していけばいいのでしょうか
サービス業の現場を悩ます「悪質クレーマー」。その実態と彼らがはびこる理由を、『一億総他責社会』(イースト新書)の著者である精神科医の片田珠美氏が解説する。

サービス業の現場で悪質クレームが蔓延している。例えば、日本最大の産業別労働組合であるUAゼンセン(全国繊維化学食品流通サービス一般労働組合同盟)が、2018年2〜5月に実施した悪質クレーム(迷惑行為)に関するアンケート調査では、回答した組合員3万人余りのうち約75%に当たる2万2440人が、「業務中に悪質クレーム(迷惑行為)に遭遇したことがある」と回答した。しかも、そのうち9割以上が「ストレスを感じた」と答えている。

 

この調査は、外食、タクシー、ホテル、病院・介護などサービス業の現場で働く組合員を対象に行われた。多かったのは、暴言や権威的態度による脅迫である。「レジ打ちを間違えたら、15分くらい暴言を言われた」「『殺すぞ、子どもが泣いているのに景品をくれないのか』とクレームを受けた」「『今日は予約が入っていない』旨を伝えると、受付2人に向かって『馬鹿面さげて何やってんだ』と暴言を吐かれた」「『俺は○○(親会社)の社長と知り合いでお前なんかすぐクビにできる』と言われた」といった回答が寄せられている。

こうした悪質クレームに悩んで心身に支障をきたした患者を私も数多く診察してきた。そういう患者に聞くと、ちょっとした対応のまずさを執拗に指摘して罵倒したり、かないそうにない法外な要求を延々と繰り返したり、「責任者を呼べ」「社長を出せ」「一筆入れろ」などと叫んだりする客への対応で疲れ果てるそうだ。

クレーム常習犯の手口

こうなると、度を越したクレーマーと呼ぶべきだが、中には常習犯と考えられるクレーマーもいる。例えば、2015年9月、当時45歳の無職の女が洋菓子店やパン屋に「ショートケーキに髪の毛が入っていた」「クリームパンの中に髪の毛が入っていた」などと偽りのクレームを入れ、商品代金や代替品をだまし取ったとして詐欺容疑で兵庫県警に逮捕された。

一連の報道によると、この女の携帯電話の総発信記録は、8カ月(同年2〜9月)で実に3万件にも上っていた。そのうち、42都道府県の洋菓子店やパン屋など約3200店にかけた電話が計約1万2000回あったということで、手当たり次第に電話をかけ、やみくもにクレームをつけていた様子がうかがえる。

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