Bリーグ決勝、千葉―A東京の第1クオーター、ボールの行方を見つめるA東京・竹内(右下)ら=横浜アリーナ

 バスケットボールBリーグの優勝決定戦。連覇を狙うアルバルク東京と千葉ジェッツの試合は、バスケットの魅力が詰まった熱戦となった。

 前半は一進一退の攻防が続く。スコアは拮抗し、35対33と東京がリードして折り返す。

 第3クオーターに入って、試合は大きく動く。東京が5本の3ポイントシュートを決めるなど一気呵成、怒涛の攻め。

 東京の「スコアリングラン」、連続得点は陶酔感を覚えるほどダイナミックなもので、会場は耳をつんざくほどの歓声に包まれた(ただし、会場の音が大きすぎて、隣の人と話すのに苦労する)。

 第3クオーター終了時点で、東京が64対45と19点の大量リード。常識に照らし合わせれば、千葉が残り10分で19点差をひっくり返すのは不可能だと思われた。ところが―。

 ここから千葉の怒涛の反撃が始まる。日本代表、身長167センチの富樫勇樹の3ポイントシュートなどで14連続得点。差は一気に縮まった。そしてついに67対69にまで迫る。

 奇跡の大逆転が起きるのか? 会場の横浜アリーナにはそんな予感が漂い始めたが、最後の最後は東京が冷静に試合を締めた。

 71対67。東京の連覇達成である。

 それでも、第4クオーターの千葉の追い上げが、試合を大いに盛り上げた。

 接戦になったおかげで、テレビのニュースも長い時間を割いて報道していた。やはり、スポーツの世界では、試合内容が最大の商品である。

 Bリーグが発足して3シーズン。「カルチャー」が醸成されつつあるのをひしひしと感じる。

 なにより、チーム間のライバル関係が見えてきたのが大きい。

 Bリーグは東、中、西の3地区のうち、東地区のレベルが際立っている。

 2年連続で決勝を戦った東京と千葉、そして初代王者の栃木ブレックスは対戦回数も多く、手の内を知り尽くしている中で、勝利への知恵を絞っている。

 また、4強に残った琉球ゴールデンキングスは、地元で大きな支持を得ており、フランチャイズとしての成功例となっている。

 新しいアリーナの建設も決まっており、これからさまざまなストーリーが待ち受けていることだろう。

 ファンも拡大しており、決勝戦のおよそ1万3000枚のチケットは、売り出しから20分ほどで完売した。

 決勝当日のスタンドには家族連れの姿が目立ったが、シーズンを通して各クラブが小学生を対象にしたアプローチを実施しており、それが実を結んでいる印象を受ける。

 ただし、クラブによって集客力には大きな差があり、経営がうまくいっていないところもある。

 それでも、小学生のうちからバスケットボールを見る習慣がついていると、将来的にもその競技を見続ける可能性は高くなる。まだ種まきの時期だろうが、大きな花に育つかもしれない。

 そして、8月からは中国でワールドカップ、来年は東京オリンピックがある。

 男子の代表チームが感動的な試合を見せれば、さらにファンは拡大するだろう。

 Bリーグの発足は、バスケットボール界だけではなく、日本のスポーツ地図に変化をもたらしつつある。

生島 淳(いくしま・じゅん)プロフィル

1967年、宮城県気仙沼市生まれ。早大を卒業後広告代理店に勤務し、99年にスポーツライターとして独立。五輪、ラグビー、駅伝など国内外のスポーツを幅広く取材。米プロスポーツにも精通し、テレビ番組のキャスターも務める。黒田博樹ら元大リーガーの本の構成も手がけている。

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