【越山若水】これは、よそへ嫁いだ姉妹のお話。実家の両親が倒れたというので、姉はとんで帰った。ところが妹は渋った。晴れ着を仕立て、良い身なりで帰りたいという。そのうちに父母は亡くなり、悲しむ姉の前に着飾った妹が現れる▼沖縄の昔ばなしだそうだ。ここで神様が登場する。お告げが下る。姉は立派な屋敷に住み、思うさま五穀を食べてよし。妹は風雨に暮らせ。わずかな虫けらだけで飢えをしのぐがいい―。姉妹の境遇は大きく分かれ、子々孫々にずっと引き継がれたという結末である▼親孝行は大切だ、との教訓かと思えばそれだけではない。じつは姉がスズメ、妹はツバメだ。鳥の姉妹のお話というところがみそである。そういえば…と、おなじみの小鳥でも対照的なことに思い至る。かといって話の通りスズメは悠々、ツバメが哀れともいえない▼それどころか、ツバメは人に愛され守られる。先日の紙面では、商業施設に巣作りする親鳥の写真が目を引いた。もうすぐひなの声が聞けるかな、という女性の談話が優しい。比べると、姉より妹の待遇が断然よさそうだ▼姉はいつも、空気のようにそこにいる。妹は季節が来ると、さっそうと顔を出す。その違いが思うに大きい。妹は得よね~なんて、人間界の話に広げるつもりはない。スズメとツバメ、どちらも今季は結構見かける。数を戻しているのならうれしい。

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