【越山若水】「美しい、とは書くな」。駆け出しのころ、先輩記者にこんな注意を受けた。絵画展の記事で、絵を表すのに使った形容詞である。それ以上の説明がもらえず、理由が分からなくて困った▼よくよく考えて、実物を見ていない人が「美しい」と読まされても想像が難しいことにやっと思い当たった。ほかのアートや風景にもあてはまる。以来、なるべく具体的な描写を心掛けるようにはした。ただし限られた文字数の中、常にうまくやっている自信は無い▼政治家の場合、選挙で自分を表すのは公約である。ところがよく見るのは「福祉に重点」「教育が大事」といったもの。文字数の問題があるのかもしれないが、福祉や教育の何をどう変えるのか、肝心のところが分からない。あの先輩記者なら駄目を出すに違いない▼4月後半のトランプ米大統領の支持率が46%という。国内外の批判をよそに過去最高である。この人の主張は「自分を支持すれば仕事をつくる」。ほぼこれに尽きる。やり方が正しいとも、うまくいっているとも思わないが、メッセージの明快さに答えがありそうだ▼「観光客の移動に自家用車をシェア」「土産×AIで誘客」「恐竜博物館収入で人口施策」。本紙記事で見た福井への提案で、具体性に感心した。これは民間の研修会「考福塾」での若者の声。福井の政治家たちの力量も見たいところである。

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