隣にある託児所に子どもを預けて仕事をするスタッフ=3月、福井県鯖江市日の出町のLIFULL FaM

 2019年1月、宮腰光寛少子化対策担当相が「子連れ出勤」の取り組みを推進する方針を打ち出した。「仕事をしながら面倒はみられない」「満員電車はどうするのか」などと一部で批判もでたが、職場をはじめさまざまな環境整備によって、働きやすさにつながる可能性は高い。保育所を設ける企業や子連れで利用できるコワーキングスペースなど福井県内の現状をのぞいてみた。

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 ウェブ関連会社「LIFULL FaM(ライフル・ファム)」(本社東京)の鯖江サテライトオフィス(福井県鯖江市日の出町)には、毎日子どもたちの元気な声が響く。子育て中の人が子どもの成長をみながら働けるよう、仕事部屋の横に託児室を配置。母親たちは保育士らに遊んでもらっているわが子の気配を感じながら、安心してパソコンに向かう。

 同社のコンセプトは「子育てと仕事をハッピーに」。仕事場と託児室が一体になった東京のオフィスが母親らから好評で、ウェブ関係の仕事は全国どこでもできることから「地方での新しい働き方につながる」と2018年3月に鯖江にも開設した。

 鯖江オフィスは空き家を改修した建物で、2階に仕事部屋と15平方メートルの託児室がある。女性10人が不動産情報に関するウェブ業務などに取り組んでおり、1日当たり子ども1~5人が託児を利用する。開設当初は「キッズスペース」だったが、昨年10月に認可外保育所に転換した。

 子どもは基本的に保育士がみるが、母親も仕事の合間におむつ替えや授乳ができる。仕事を離れる頻度は自主性に任せる一方、業務の滞りや不公平感が出ないよう適宜ルールを定めている。▽きちんと仕事に集中する▽子どもが嘔吐(おうと)した場合は親が始末し連れて帰る―など。オフィス統括の山岸充さん(29)は「みんなで相談しながら、働きやすい環境をつくっている」と話す。

 1歳の娘を連れて来ている越前市の女性(33)は「成長を間近で見られたし、都合に合わせて休みも取れた。やりがいがある仕事を任せてもらえて、自分の居場所ができた」と目を輝かせる。「『子育て中に働きたかったら、何かを犠牲にしないといけない』と言われるけれど、何も犠牲にせず1年間やってこられた。また子どもを産もうと思える」

 「スタッフのキャリアアップと雇用の増加が今後の課題」と山岸さん。他社のワークライフバランス改善の支援にも携わっている経験から、「生活を大事にしながらワクワクして取り組める仕事があれば、女性も若者も地方から出ていかなくなる。よい働き口が整備されることが住んでいる人の幸せにつながる」と強調する。

⇒連載「子連れで仕事へ」を読む(D刊)

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