福井県あわら市の民家で見つかった啓発録の活字本

 1889(明治22)年に出版された幕末の福井藩士・橋本左内(1834~59年)が人生の目標や規範を書き記した「啓発録」の活字本が、福井県あわら市内の民家で発見された。啓発録の活字本では最も早い出版とみられる。国立国会図書館に1冊保管されているが、研究者の間でもほんとんど知られていなかった。今回の発見を受け、歴史研究家で啓発録に詳しい角鹿尚計(つのが・なおかづ)さん(58)=福井市立郷土歴史博物館長=は「啓発録が一般に流布したきっかけになったのではないか。非常に貴重」としている。

 活字本は、あわら市の藤井茂博さん(79)が自宅の蔵で発見。和紙に包まれた状態で置かれており、藤井さんは「郷土史に関心の高かった父が手に入れたのだと思う」と話している。

 縦19センチ、横12・5センチで38ページ。漢字仮名交じり文で書かれている。巻末には編集・発行は「鹿児島県士族 山本忠輔」と記載があり、印刷者は東京で印刷会社「三秀舎」を設立した越前市粟田部町出身の島連太郎(1870~1941年)。島が当時勤めていた秀英舎(東京)が印刷、丸善書店(同)が販売した。

 国会図書館の蔵書履歴によると、今回見つかったものは啓発録の活字本の中では最も古い出版。左内を巡る顕彰活動の変遷を調査・研究している福井県立図書館司書の長野栄俊さん(47)は「啓発録が公の出版物に載った恐らく初めてのもの」としている。

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