【論説】全国各地の自治体が東京都内に設けるアンテナショップの数が過去最多となっている。店のリニューアルや写真共有アプリ「インスタグラム」を駆使したプロモーションなど、集客にしのぎを削る。ただ、東京五輪・パラリンピックに向けた対策は進んでいない。

 一般財団法人「地域活性化センター」の2018年度実態調査によると、対策を取っているのは2店のみ。来日外国人を呼び込み、地元への誘客につなげる取り組みが求められている。

 銀座、日本橋はアンテナショップがひしめく“激戦地”。週末にもなると、大通りに面した店は大勢の来館者でにぎわい、レジ待ちの長い列ができることもある。都内に出店する路面店型のアンテナショップは1月24日時点で61店。この10年間で倍以上に増えた。

 一方で、東京五輪に伴う不動産賃料の高騰などを理由に撤退する店も出ている。東京駅前からの移転先を探していた京都市は昨年3月、五輪前の再開を断念して休館した。福岡県久留米市など同県内の6市町が新橋で運営する店も、来館者数の低迷で今夏をめどに閉店する予定。ネットショップの成長による運営方針の見直しや店舗内装の老朽化を受けたリニューアル、移転も相次いでいる。

 福井県が出店する港区の「ふくい南青山291」、銀座の「食の國 福井館」は営業強化が実って、売り上げの増加傾向が続いている。2店を合わせた17年度の売り上げは3億4千万円を超え、過去最高を記録した。だが来館者数はこの2年横ばいだ。

 自治体や特産品のPRはもちろん、観光誘客、U・Iターンの促進など役割が拡大しているアンテナショップ。銀座、日本橋をはじめ出店エリアは外国人観光客が多く、3分の1近くの店がパンフレットやホームページの多言語化、免税対応などを進めているが、地元に呼び込む対策は十分とはいえない。

 地域活性化センターの実態調査をみても、3割を超える店が観光誘客の面で十分な効果が得られていない。東京五輪に向けて、翻訳機の導入など外国人の接客を強化した鳥取、岡山両県の共同店でも、どう誘客に結びつけるか模索中だ。有効な対策を打ち出すのは簡単でないとみられるだけに、できるだけ早く取り掛かる必要がある。

 福井県の2店はこの春、運営委託業者が変わったばかり。五輪対策はこれからになる。東京を訪れる外国人にどうアピールするのか。福井県のおもてなしが問われる。

関連記事