長年、力仕事をしてきました。仕事を辞めてからは畑や田んぼの作業をすることが多くなっています。以前から右肘の内側の痛みがありましたが、徐々に夜にうずくようになり、右手の小指がしびれて力が入らなくなってきています。肘も曲がらなくなってきていて、最近は鉛筆や箸が持ちにくくなってきました。何が原因なのでしょうか?(福井県福井市、68歳男性)

【お答えします】山内大輔・福井県済生会病院整形外科副部長

■「肘部管症候群」の可能性

 質問の症状は「肘部管(ちゅうぶかん)症候群」による尺骨(しゃっこつ)神経まひだと思われます。肘部管とは肘の内側にある尺骨神経の通り道で、そこで尺骨神経が圧迫されて痛みやしびれが出現することを肘部管症候群と呼んでいます。尺骨神経は、脇の下から肘の内側を通り、手のひらの小指側と小指へ分布する神経です。これが損傷されると、小指のしびれや痛み、指の動かしにくさが出現します。
 肘部管症候群の原因は、長年の使い過ぎによる肘の骨の変形、ガングリオン(関節の液がたまった袋)などの腫瘍や、肘周囲の骨折などの外傷によることが多いですが、はっきり分からない場合もあります。
 典型的な症状は、小指と、薬指の小指側半分のしびれ・痛みと指の動かしにくさ(まひ)です。しびれは前腕には生じません。まひは特に、小指を薬指にくっつけることができなくなったり、親指と人さし指の間の筋肉が痩せてしまったりします。
 診断は通常、肘のエックス線検査と神経伝導速度を計測する検査を行います。原因に腫瘍を疑った場合には、MRIなどの画像検査を追加することがあります。

■痛みとる手術も選択肢 進行前に早めの受診を

 治療は、まずは手術をしない保存的治療を行いたいところですが、尺骨神経は圧迫に弱いため、いったん強いしびれやまひが生じてしまうと、手術をしても回復は難しいことがほとんどです。したがって、小指が閉じれないなどのまひが出現している場合は手術をお勧めしています。手術をすれば痛みは楽になりますし、今後の進行は防げます。まひがなければ、安静にしてもらったり、炎症を抑える薬を用いたりして経過を診ることになります。
 手術の内容は、肘の内側を切開して尺骨神経を元の場所から少し前(曲げる方)に移動させて圧迫を取り除きます。必要があれば、少し(5~10ミリほど)骨を削る場合があります。
 先述の通り、いったん進行してしまうと回復が見込めないことがほとんどなので、早めにかかりつけの医師に相談されることをお勧めします。

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