【越山若水】中国語に「和尚打傘」という言葉がある。これを聞いて皆さん、どんなイメージをしますか。雨の中を傘を差して1人静かに歩くお坊さん…。孤高な僧侶の姿を思い浮かべないだろうか▼実際は中国の俗語の一つ、だじゃれ言葉だという。後は言わないという意味の「歇後語(けつごご)」と称され、日本で言えば、大喜利でおなじみの謎かけに似ている。後ろに続く文言が謎かけの「その心は?」に相当するが、それが省略されているため語意は全く違ってしまう▼直訳なら「坊主が傘を差す」だが、ではどういう意味だろう。僧侶は髪がない、傘を広げると天が見えない。つまり「無髪無天」。中国語で「髪」と「法」は同じ発音だから「無法無天」に通じる。規律もなく神様もいなけりゃ、もう「やりたい放題」というわけだ▼ひょっとして「和尚打傘」? その懸念を消しがたいのが中国が掲げる巨大経済圏構想「一帯一路」である。関係国のインフラ建設に投資する半面、過剰な債務で借金漬けにする。雨よけの傘を差し出す親切を装いながら、実は相手を配下に置く身勝手な思惑がある▼こうした批判に、習近平(しゅうきんぺい)国家主席は先週の国際会議で「国際ルールに基づき、財政の持続可能性を確保する」と殊勝な口ぶり。財布の中身が寂しい国々に目の前の大金は垂涎(すいぜん)の的だろうが、「一帯一路」の傘を広げる和尚には油断禁物である。

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