介護老人福祉施設を家宅捜索し、押収資料を運び出す県警捜査員=4月20日午後0時25分ごろ、福井県大野市

 福井県知事選(4月7日投開票)で不在者投票を行った病院や老人ホームなどのうち、不正防止のための外部立会人を配置した施設が2割に満たなかったことが4月24日、福井新聞の取材で分かった。公選法で外部立会人の配置は「努力義務」。法的に問題はないものの、外部立会人を置かなかった大野市の介護老人福祉施設の施設長らが勝手に入所者分の投票をしたとして、同法違反(投票偽造)の疑いで逮捕される事件が発生した。関係者からは、努力義務にとどまる現行法が“不正の温床”となり事件を誘引したとの指摘や、法改正など何らかの対策を求める声が上がっている。

 県内には、病院や老人ホーム、障害者支援施設など不在者投票ができる指定施設が池田町、南越前町を除く15市町に164施設ある。福井新聞の取材では、今回の知事選で少なくとも122施設で不在者投票が行われた。しかし、外部立会人を置いたのは2割に満たない24施設にとどまった。

 県選管は2月、施設の担当者ら約150人を集めて説明会を開いたが、制度が浸透していない実態が浮き彫りになった。

 ▼再び不正

 かつては第三者の立ち会いが不要で、全国で今回と同様の不正事件が相次いだ。県内でも2007年、福井市議選を巡り介護老人保健施設で投票偽造が発覚、職員ら3人が逮捕された。

 不正が起きにくい制度への改善を求める声が高まり、13年の公選法改正で関係者以外の第三者を立ち会わせるよう求める努力義務が盛り込まれた。福井県は国に先立つ08年、前年の投票偽造事件を受け、外部立会人制度を設けた。だが、事件は再び起きた。

 ▼強制力を

 今回の事件について県内のある町選管職員は「外部立会人がいれば止められたはずだ」と指摘。別の市の選管職員は「今まで施設から派遣依頼はほとんどない。今回の事件が、外部立会人を置く意識が高まる機会になれば」と話す。県選管も「今まで以上に施設側へ制度の周知を図っていく」としている。

 以前から外部立会人を配置している県内のある福祉施設の理事長は「知事選はもちろん、(有権者が少なく)より一票の重みが増す市町議員選や首長選では、こうした不正が当落に大きく影響を与える」と指摘。「今のような努力義務ではいけない。法で縛るか、省令や通達で強制力のある仕組みにしないと、不正は繰り返される」と警告している。

関連記事