エンゼルス戦に先発し、5回4失点でメジャー初勝利を挙げた米大リーグ、マリナーズの菊池雄星投手=4月20日、アナハイム(共同)

 マリナーズに移籍した菊池雄星が、4月20日(日本時間21日)に行われたエンゼルス戦でメジャーリーグ初勝利を挙げた。

 内容は苦しいものだった。5回で自己最多となる97球を投げたものの、10安打を許し4失点。好調のマリナーズ打線が菊池をバックアップし、初めての勝利をプレゼントした形になった。

 菊池がマリナーズのユニフォームを着て最初の登板となったのは3月21日、イチロー選手の引退試合にもなった東京ドームでの試合だった。

 一月以上勝ち星がなかったわけだが、これで精神的には落ちつけるのではないか。

 日本人のメジャー経験者のこれまでの話では、「内容が悪いとしても、とにかく白星が大事です」というから、菊池の次戦以降の「落ちつき」に期待したいところだ。

 気になる情報が入ってきた。マリナーズのサービス監督は、菊池の次戦の先発予定である26日(日本時間27日)のレンジャーズ戦で、菊池を「オープナー」として登板させることを検討しているという。

 オープナーとは何か? これは昨季からレイズが採用している戦術で、先発投手陣が手薄な場合、1回のマウンドをクローザーなどのブルペン投手に任せるのだ。

 日本の広島を例にとれば、クローザーの中崎翔太が初回に登板するようなものである。

 なぜレイズはこのような戦術を採用したかというと、統計上4番手、5番手の先発投手は1回に失点することが多く、徐々に調子を上げていくケースが目立つという。

 それならばと発想を転換し、1イニング限定の登板に慣れているクローザーを初回に登板させた方が、初回の相手の攻撃を無失点に抑える確率が高いのではないか。

 レイズの経営陣はそうした仮説を立て、リリーフに1回を抑えてもらい、すでにブルペンで投球練習をしていた本来の先発投手が、2回以降にマウンドに上がる。この仮説を実行に移したところ、一定の成功を収めたのである(しかも今季はアメリカン・リーグ東地区の首位を走っている)。

 オープナー戦術はまだ発展途上段階で、各球団は実験中。マリナーズは菊池で実験を試みようとしていると見られる。

 ディポト・ゼネラルマネジャーは、開幕前から移籍1年目の菊池にシーズンを通して活躍してもらうため、「ローテーションを守りながら、先発の5度に1度はオープナー的な登板によって投球数を抑えることも検討している」というプランを描いていた。

 これが現実となれば菊池は初回、あるいはリリーフ投手が登板した後を受け、1イニング、あるいは2イニング限定で投げることも十分に考えられる。

 それにしても、メジャーリーグの実験精神には驚かされる。次戦の菊池の投球に注目したい。

生島 淳(いくしま・じゅん)プロフィル

1967年、宮城県気仙沼市生まれ。早大を卒業後広告代理店に勤務し、99年にスポーツライターとして独立。五輪、ラグビー、駅伝など国内外のスポーツを幅広く取材。米プロスポーツにも精通し、テレビ番組のキャスターも務める。黒田博樹ら元大リーガーの本の構成も手がけている。

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