男性が自分の母親について熱く語りだすとつい引いてしまう―。

 女子はそんな経験ありませんか?

 私も、どんなにイケメンでもマザコンはまずかろう、と思っていました。

 でも、ロックシンガーで、ベストファーザーにも選ばれているダイアモンド☆ユカイさんに話を聞いてからは、ちょっと考えが変わったのです。

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 「おふくろは当時珍しいキャリアウーマンでね、仕事が好きだったんだと思う。―かっこよかったね」

 ユカイさんに女性活躍のテーマでインタビューしたときのこと。話してくれたのが母正子さんのことでした。

 正子さんは公務員だった。「愚痴を言う人ではなかったけれど、専業主婦が一般的だった昭和の時代に、男社会で働くたいへんさはあったと思う」

 忙しく働く母の背中を見て、少年だったユカイさんは思っていた。「おふくろ、闘っているんだなー」

 「弁当がさ、隣のヤツのを見ると彩り豊かでおいしそうなんだよね。で、俺のはシャケが一匹、ご飯の上にバーン。『おい、これありか?』って言っていた」と振り返るユカイさん。でもその後で優しく付け足した。「良いシャケだったのは間違いないけどね」

 正子さんをどんなに大切に思っているかが、言葉の端々から伝わりました。人気ブログ「ユカイなサムシング」にも個別テーマの一つにちゃんと「俺の正子」が。

https://ameblo.jp/diamondyukai/

 「マイラブ」「元気でいて」「愛してるよ」「正子にオレオレ詐欺から電話があった」「心配だなぁ」。ロックンローラーならではのストレートな愛の言葉がささげられている。

 正子さんの好物のウナギを一人で食べに行ってしまったら「ごめんね」と謝り、呼び出されては駆け付け、温泉に連れて行く。世の息子という息子は見習ってほしいです―みなさん親孝行してますか?

 ユカイさんと言えば、自らの男性不妊を公表し、それを乗り越えていまや3児の父。イクメンとしても有名です。

 デビュー当時は、ファンの女の子に囲まれ、夜通しロックな日々を過ごしていた。ところが今では、仕事の間を縫って朝五時半に起き出し、子供たちのために「パパ特製野菜たっぷりスムージー」を作っている。まさかのPTA会長まで務め上げた。

 「紺のスーツに紺のネクタイでね、びしっとやりました。『革命だ!』とか歌ってきたけど、PTAでは…子供と地域をそっと見守る感じだったかな。ママ友に助けられて」

 その「激変」の陰にも、やはり正子さんの存在が。「やっぱり47歳で子どもを授かってからは、愛情をもって育ててくれた両親の影響が出てきた」

 大学に進学した後、ロックの道に進んだユカイさんを、「自分で選んだ道なら、がんばれ」と常に応援してくれた正子さん。「俺も、子どもが好きなことがあって志があるなら、できるかぎり背中を押してやりたい」

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 もしかして、すべての愛は、「お母さんへの愛」から始まるんじゃないか―。話を聞いていてふと気がつきました。

 多くのママは「息子というものはよく分からない」、と言います(筆者もその一人)。なぜ延々と図鑑を読んでいるのか。なぜ意味もなく走りだすのか。努力はするものの、はっきりいってほとんど理解できないでいます。

 そんな、永遠に分かりそうもないけれど大事な息子に「かっこいい」と言われるなんて、なんだかとてもすてき。

 2年前、90歳で旅立だった正子さん。「俺の太陽」だったと、ユカイさんはブログにつづっています。(中井陽・共同通信記者)

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