自殺を引き留められた女性が描いた似顔絵を持つ茂幸雄さん。「自殺の背景には社会のいろいろな問題がある」と話す=3月、福井県坂井市の東尋坊

  ■  ■  ■

 06年に自殺対策基本法が施行された。近年、自殺者数は減り続けているが、それでも年間2万人超。県内でも100人を超える。自殺防止だけでなく、増え続ける遺族のケアも課題として指摘されている。

 「残された私は、人生の端っこをずっと歩いてきた」。親を自殺で亡くした福井市の60代女性は話す。福井県内の自死遺族でつくる「アルメリアの会」の梅林厚子会長(62)は「遺族は眠れない、食べられない、働けないという状況になる。5年10年たっても、現実を受け入れられない遺族もいる。社会にとって、それはプラスにならない」

 専門医や保健師らが応対するこころの悩み相談、弁護士らが法的トラブルや経済的に余裕がない人をサポートする法テラス福井など「自殺防止の支援体制は少しずつ整ってきている」と梅林会長。ただ情報の共有がどこまでできているのかは疑問だという。

 「例えば自殺未遂を繰り返す人の情報を持っているのは消防署や警察、病院だが、どこまで連携できているだろうか。当事者が自宅に帰った後の追跡調査はできていない。もっと当事者に寄り添える仕組みが必要」

 茂さんは「現場の声を聞き、真剣に考えてほしい。自殺の原因は一つや二つではない。教育、地域のコミュニティー、家族の形などいろいろな社会の問題が見えてくるはず」と訴える。

関連記事