【論説】統一地方選の前半戦が終わった。知事選では前副知事の杉本達治氏(56)が現職の西川一誠氏(74)、共産党新人の金元幸枝氏(61)を破って初当選した。総務省OB同士で、県庁で部下と上司の関係だった杉本、西川両氏による約半年にわたる保守分裂選挙は終結した。政策論争が乏しいといわれたが、今後、杉本カラーをどう打ち出し、「わくわく感」を実現していくか、期待と注目が集まる。

 ■戦術が勝敗左右■

 今回の勝敗を左右したとみられる戦術面を振り返ると、西川氏は先手先手を打って優位に立とうとした。1年前の政治資金パーティー、通常より1カ月早い出馬表明。さらに現職の強みを生かし、各種団体からの推薦を受けるなど包囲網を築き上げていった。

 一方の杉本氏は綿密な計画の下、一気呵成(かせい)に表舞台に。政策面では、西川県政を基本的に引き継ぐとし、目立った違いを見せなかった。争点を「継続」か「世代交代」の1点に絞る「ワンイシュー」「シングルイシュー」選挙に持ち込んだ。小泉純一郎元首相が郵政選挙で駆使した手法だ。エネルギーを1点に集中させることで、現職の分厚い壁を打ち破ることができたといっていいだろう。

 選挙では県内を二分し、大きな溝をつくった。いかに早く埋めるかが課題だ。杉本氏は「選挙戦が終わり、ノーサイド」と明言している。経済界の一部には「新知事のお手並み拝見」を決め込むスタンスも見られるが、歩み寄りが必要だ。いがみ合いは、結果として県民を不幸にするだけだ。

 ■少ない女性県議■

 知事選と並行して行われた県議選は、やや注目度を落としたが、被選挙権を得たばかりの25歳から、最年長88歳のベテランまで多彩な顔ぶれが当選。新人議員は6人が誕生した。

 今回注目されたのは、2世議員と女性議員の行方だった。父親が県議経験者の2世新人議員が4人立候補し、3人が当選した。市町議員などに幅を広げれば、さらに2世、3世議員は多くなる。政治家の家業化は全国的にも進んでおり、特定の親族に権力が集中することに批判の声は強い。2世、3世であろうと、一人の政治家として見識を持って活動してもらいたい。

 女性の県議は、福井市選挙区で現職が落選し、1人減の2人(5・4%)となった。候補者男女均等法が候補者数を「できる限り男女均等」となるよう求めているのに対し、現状は程遠い。女性の出馬環境がまだまだ整っておらず、一朝一夕に改善される状況でもない。まずは衆参の国政選挙で、比例代表の候補に各党が女性を擁立し、女性議員の活躍する姿を披露することが近道ではないか。ハードルは低くないが時代の要請だ。

 ■伸びない投票率■

 投票率は知事選が58・35%、県議選が59・40%で、知事選は前回に比べると10ポイント近くアップした。だが、激戦が展開された知事選は、60%は超えるのではと当初予想されていた。身近な選挙でこれだけの激戦でも超えないとなれば、今後60%を上回る選挙はあるのだろうかと疑問をもたざるを得ない。

 一方で、期日前投票は前回の1・7倍に増え、全体の2割が事前に足を運んだことになる。期日前の増加傾向は今後も続くだろう。投票制度、選挙期間の在り方を考える時期が来ているのかもしれない。

 統一選は、後半戦がスタート。県内すべてが対象地域ではないが、市長、市町議員選挙が行われる。最も身近な選挙の機会に、有権者にはじっくりと考えて、選挙権を行使してもらいたい。

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