「拉致問題が悲しい歴史になる前に解決を」と話す地村保志さん。解決には国民の理解が欠かせない=3月8日、福井県生活学習館

 「今の中高校生は拉致を知らない世代」。17年前に帰国を果たした福井県小浜市の拉致被害者、地村保志さん(63)が、講演のたびに口にする言葉だ。啓発講座で同市内の小中学校に出向いている地村さんは、同県嶺北地方でも2回講演した。背景には「拉致が昔の悲しい歴史になってしまう」(地村さん)という危機感がある。支援組織「救う会福井」は今後も県内各地で集会を開いていく予定だが、関係者は「活動継続には行政との連携が欠かせない」と話している。

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 ■条件と譲歩

 2度目の米朝首脳会談を控えた2月17日、拉致被害者家族会と支援組織「救う会」は、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長に向けて、異例のメッセージを打ち出した。

 「全被害者の即時一括帰国が実現すれば、帰ってきた被害者から秘密を聞き出して、国交正常化に反対する意志はありません」

 救う会の西岡力会長は「米朝交渉がうまくいけば、日朝交渉が始まる可能性があった。その前に解決の条件と譲歩を示しておく狙いがあった」と説明する。結局、米朝首脳会談は非核化で合意できず決裂した。

 3月12日、地村さんは救う会福井のメンバーと上京。官邸で安倍晋三首相と面会し「首相が(金氏と)直接会って、突破口を開いてほしい」と求めた。安倍首相は「(私自身が金氏と)向き合わなければならない。同時に国民的な理解が高まっていくことが極めて重要だ」と答えた。

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