安全対策工事が進む高浜原発1、2号機(右側)と運転中の高浜原発3、4号機(左側)。原発を巡る課題は山積している=3月9日、福井県高浜町田ノ浦

 4月7日投開票の福井県知事選で、県の重要課題の一つである原子力政策を巡る論戦が盛り上がりを欠いている。原則40年の運転を延長し再稼働を目指す関西電力高浜原発1、2号機と美浜原発3号機の地元同意判断や、使用済み燃料の扱いなど課題は山積している。共産党公認の候補は明確に原発ゼロを訴える一方で、残る2候補は安全第一を主張するものの、個別の課題についての言及はほとんどなく、方向性が見えない。

 高浜3、4号機が運転中の高浜町。知事選後には任期中、高浜1、2号機の40年超運転の地元同意判断が迫られる。さらに、関電が県外での計画立地地点の明示を先送りした使用済み燃料の中間貯蔵施設に絡み、地元が議論を求めている敷地内で保管する「乾式貯蔵」への対応も必至となっている。

 杉本達治西川一誠両候補は、同町内で個人演説会を開いた。「安全第一で、安全を最優先して県も監視しながら、高浜から原子力の灯が消えないようにしっかりとやらせていただくことを約束する」と杉本候補。西川候補は「再稼働、40年超の問題、中間貯蔵をどうやるか。原子力は将来性がないと意味がない。しっかりと方向性を出して、実行するのが大事」。互いに具体的な方向性など明言は避けた。

 同町在住で「ふるさとを守る高浜・おおいの会」の東山幸弘代表(72)は「原発は嶺北では関心は低いが、嶺南では第一の課題。賛成なら賛成で、今後どうしていくのか具体的に有権者に示す必要がある」と指摘。40年超や使用済み燃料はここ1、2年で大きく動く課題とした上で、「答えるべき人がちゃんと答えるべきだ」と憤りを隠さない。

 両候補の政策集を見ても、「原子力・エネルギー政策は県民の安全最優先を徹底する」(杉本候補)、「安全を第一に未来志向の原子力行政」(西川候補)と差異はなく、ビジョンが見えない。

 この状況を原子力事業関係者の一人は、「どちらになっても、これまでの原子力政策は継続されるはず。事業者としては、原子力が政争の具にならない方がいいと思っている。就任してから地元などとしっかり議論してもらえばいい」と本音を漏らす。

 ある陣営関係者は「個人演説会などは時間が限られている。原子力以上に人口減対策やまちづくりといった身近な課題を訴えた方が票につながるのでは」と明かし、地元の陣営も特に原発論議を求めていないのが現状のようだ。

 一方、対照的なのが金元幸枝候補。各地で一貫して「原発ゼロ」を声高に訴え続けている。敦賀市内での街頭演説では、「原発のない福井県をつくりたい。原発をやめ、再生可能エネルギーの開発・普及の産業を大きく興していきたい」と力を込めた。

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