【論説】文部科学省が、スマートフォンや携帯電話の小中学校への持ち込みを原則禁止する通知の見直しを進めている。既に多くの児童生徒が所有していることや、災害時などの連絡手段として有効であることなどを踏まえた対応だ。一方でスマホ依存や管理の難しさなどを懸念する声もある。専門家会議などで課題を洗い出し、時間を掛けて対応策を練るべきではないか。

 きっかけは、大阪府教育庁が先月、公立小中学校で持ち込みを認めるとし、運用のガイドライン素案を市町村教委に示したこと。昨年6月の大阪北部地震で連絡が取れず、不安を抱えた保護者からの要望を受けての措置という。GPS(全地球測位システム)機能で子どもの居場所が分かり、防犯面でも安心につながるとされる。同教育庁は27日にガイドラインを策定した。

 背景にはスマホなどの所有率が急速に伸びている状況がある。内閣府の2017年度の調査では、小学生が55・5%、中学生は66・7%、高校生はほぼ全員の97・1%が所有している。既に子どもたちが生活する上で無視できず、20年度からのプログラミング教育の小学校必修化など積極的に活用する機運が醸成されつつあるという現実もある。

 文科省は09年の通知で小中学校への持ち込みを原則禁止とし、高校でも禁止を含めた使用制限を求めている。福井県内でも県教委の通知に従い、小中学校は原則禁止され現在も運用されている。

 利点の一方で、弊害も多くあることに目を向けなければならない。懸念は、会員制交流サイト(SNS)による仲間内のいじめや、有害サイトへのアクセス、不適切な動画などの拡散、SNSやゲーム依存、歩きスマホによる事故など多岐にわたる。犯罪被害に遭う子どもも後を絶たない。

 大阪府教育庁は、登下校時の緊急時のみとし、校内ではかばんに入れ、学校が許可した場合以外に使わせない方針だ。ただ、管理は「原則、児童生徒自身に行わせる」としている。教師の目が届かない所で使用したり、盗難に遭ったりする可能性は否定できない。

 だからといって、学校で預かるにしても、高額のスマホが多数に上り、厳重な管理が求められる。さらに受け渡しに要する手間や、適切な使い方の指導などは、教師にとって過重な負担につながりかねない。学校現場からは「百害あって一利なし」といった反対意見も根強い。

 スマホ解禁で経済的に厳しい家庭の子どもが親にせがむケースも増えるだろう。買えない子どもが、いじめに遭うようなことも想定される。

 文科省は大阪でのスマホ解禁を参考にするとしているが、妥当か否か再考を促す立場ではないのか。このままでは弊害が多すぎ、子どもを守れないと考えるべきだ。有効活用する学校の事例を集めるなど、適切に使用するためのルールづくりを進める必要がある。その際の議論には保護者を巻き込むことも欠かせない。

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