【越山若水】北から南へ一直線にコンクリートの構造物が延びている。小社から見える北陸新幹線の高架橋である。橋桁が全てつながり、点線から実線になったといった案配だ▼この線は間違いなく敦賀まで引かれ、4年後には新幹線が走る。長い曲折を経てきたが、もう後戻りすることはない。これは未来へと続くレールかもしれない▼そんな希望とは無縁としか言いようのないプロジェクトもある。沖縄の米軍普天間飛行場の移設計画で、国は名護市辺野古沿岸部の新たな区域で土砂投入を始めた▼県民投票で「反対」の民意が示されて1カ月。これまでに、計画区域の海底深く軟弱地盤が広がっていることが分かってきた。改良工事は可能なのか。総工費は。いつ完成か―▼政府の国会答弁を聞いても、納得するのは難しい。根拠が曖昧なまま、ひたすら大丈夫と言い聞かされている気分だ。重要で大規模なプロジェクトほど中止は困難だと聞く。まるで慣性の法則だ▼「車は急に止まれない」という標語でおなじみの、あの法則である。車より大きく速い新幹線や戦闘機となれば、止めるのにもっとエネルギーが要る▼といってもこの法則が人のなすことにそのまま当てはまるわけはないだろう。進路が違うから止めてくれ、という声を聞いたならすぐにブレーキを踏めばいい。その気配が少しも感じられないので、背筋が寒い。

関連記事