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 奇しくも、4月5日から日本公開される話題作『バイス』と同じで、9.11同時多発テロからイラク戦争へと突き進んだアメリカ政府を批判的な視点で描いた実話だ。ただし、『バイス』がブッシュ大統領を陰で操った副大統領に焦点を絞った悪役主人公ものなのに対し、こちらはもっと直球。当時の政府を唯一批判した新聞社“ナイト・リッダー”の記者たちのジャーナリスト魂が描かれる。だから本作は、王道の英雄譚であり、スリリングに真相へと迫っていく探偵ものの趣もある。

 監督は、鬼才ロブ・ライナー。『スタンド・バイ・ミー』『恋人たちの予感』『ミザリー』『最高の人生の見つけ方』…多彩なジャンルでヒット作を持つが、監督デビュー作が伝説的なモキュメンタリー『スパイナル・タップ』だったことからも分かるように、映画表現に関しても自覚的な監督である。それだけに、本作の狙いを裏読みしたくなる。

 政府VSメディアの図式から真っ先に浮かぶのは、トランプ大統領だろう。だが、彼が大統領選に勝った時、本作は既に撮影中だったため、そのメディア批判を受けて企画された映画とは考えにくい。むしろ純粋に、イラク戦争に対する贖罪の思いや当時の政府(あるいは共和党)への怒りがロブ・ライナーを駆り立てたように思う。それでも、この図式が今タイムリーであることは間違いないし、日本人にとっても対岸の火事ではない題材。ぜひ『バイス』とセットで観てほしい。★★★★☆(外山真也)

監督・出演:ロブ・ライナー

出演:ウディ・ハレルソン、ジェームズ・マースデン

3月29日(金)から全国公開

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