(C) Yamaguchi Center for Arts and Media [YCAM]

 昨秋公開された『きみの鳥はうたえる』で一躍日本映画界期待の星に躍り出た三宅唱が、山口情報芸術センター(YCAM)の映画制作プロジェクトで撮った新作だ。いわば素人キャストを起用したワークショップ作品で、実際にYCAMで行なわれている地元の植物のDNAを解析して図鑑を作るワークショップに参加したティーンたちの交流が描かれる。

 近年は橋口亮輔、沖田修一、濱口竜介といった精鋭たちが、続々とワークショップを利用した作品を発表している。その効果の一つとして挙げられるのが、シネフィル系の監督たちによる演技メソッド=俳優とのコラボ意識の芽生えだろう。と言うのも、少し上の世代の黒沢清の場合、『蛇の道』で香川照之に演技指導(役の解釈や状況説明)をせず、「3秒たったらドアまで歩いて〜」など具体的な動きの指示に終始したという逸話が残っているくらいだから。これは香川によれば、演技における意味付けの無意味さを諭したものなのだが、同時に、黒沢作品にとっての演技=俳優のプライオリティーの低さも暗示していよう。

 では、三宅監督の素人キャストとのコラボはどうか? プロの俳優にはネームバリューだけではないプロの魅力があるように、素人にも素人なりの良さがある。彼は、その初々しさやクセのなさといった長所をしっかりと引き出して、画面に刻み付けている。iPhoneを使った手作り感と相まって、これまでの三宅作品とはまた違った妙味があるのだ。★★★★★(外山真也)

監督・脚本・撮影・編集:三宅唱

出演:伊藤帆乃花、安光隆太郎、栗林大輔

3月30日(土)から全国順次公開

関連記事