【論説】おおい、高浜両町のイチゴ観光農園が合わせて3軒となった。2016年度から相次いでオープン、予約が取りにくいほどの人気の農園もあり、一大イチゴ産地へと走りだしたいところだ。課題は、病害虫による育てにくさ。乗り越えるには、農園同士の協力に加え行政のバックアップが欠かせないだろう。

 農業衰退が社会全体の課題となる中、県は稲作に代わる農業として大規模園芸を推進している。両町では観光に力を入れていることもあって、市場価値が高く観光農園化が図れるイチゴを採用した。

 この県の事業の一環として、整備した農園の経営者を募集。これを受け16年12月、おおい町にまず1軒がオープン。昨年3月と今年2月には、高浜町で2軒目、3軒目の営業がスタートした。

 最初の農園ができて3シーズン目に入ったところだが、既に需要に追いつかないほどの人気という。シーズンは12月~5月ぐらいと長く、今が盛りの時期。嶺北地方など県内からの客が中心で、今後は関西、中京など県外客の増加が期待でき、伸びしろはまだまだ大きい。

 同じ種類の農園が地域に複数存在することには、スケールメリットが生まれるという。愛知県田原市にはイチゴ観光農園が10軒以上あって、一つの農園が予約で埋まった場合、別の農園に客を誘導している。実際に、おおい、高浜両町でも既に同様の現象が起きている。

 イチゴはほかの園芸品目に比べ、低温でも育ちやすい。収穫期間が長いために、その分、観光農園として集客できる期間が長く取れることも有利な点である。

 良いことずくめのようだが、病害虫被害を受けやすいという大きな弱点がある。被害が広がり、品質に影響が出る事例も県外ではあるという。

 このため、イチゴ産地として農園の数を拡大するには、栽培技術の向上が不可欠だ。新たに参入を目指す人たちに、いかに技術を習得してもらうかが鍵となる。

 産地としての規模が拡大していけば、おのずと雇用も生み出される。きのこの森(おおい町)、青葉山ハーバルビレッジ(高浜町)など既存の施設と連携することで、観光ルートとして魅力を大いにアップさせることができるだろう。

 今後の国の原発政策が不透明な中、両町とも原発に代わる地域振興を視野に置いている。観光農園だけでなく、ケーキなど菓子の材料としてのイチゴ農園も考えられるだけに夢は広がる。産地化へ向け、行政が主導した新規参入者の育成システムの構築が急がれる。

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