【越山若水】物やサービスの値段は需要と供給の法則で決まる。ただ実際にはそれほど合理的ではなく、むしろ人それぞれの思惑が入り乱れる。こんなエピソードが残っている▼かの名画家パブロ・ピカソが公園にいると、女性がやって来て「私の絵を描いてほしい」とせがんだ。ピカソはしばらく女性を観察し、一筆で絵を完成させた▼自分の本質を捉えた見事なできばえに、彼女は「素晴らしいわ。いかほどお支払いしましょう?」と尋ねた。するとピカソはあっさり答えた。「5000ドルです」▼「何ですって。ほんの30秒ほどでしたよね」。驚いて確かめる女性にピカソは「いや、これまでの全人生と30秒かかっていますよ」と返した。芸術には豊かな経験と専門性が重要という自負心だろう▼ピカソの偉大さを考えれば安い気もするが、それでは次に挙げる値段は妥当だろうか。米国のトランプ政権が在日米軍の駐留費の負担を大幅に増やすことを検討中だという▼「コストプラス50」の計画名が示す通り、50%以上の負担金上乗せを要求。これまで除外されていた米兵の給与、空母や潜水艦の寄港費まで含まれる▼日本は既に約2千億円の思いやり予算を組んでいる。経費の負担割合は75%に達し、同盟国でも極めて高い。「日本を守っている」と恩を売り、自軍の維持費までせしめる手口。値段の決め方が高飛車にすぎる。

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