【論説】鯖江市は2019年度の施策で、女性活躍の推進を前面に打ち出した。当初予算に関連事業を盛り込んだほか、機構改革も行う。多様な人材の活用は企業の成長につながるといわれ、深刻化する人手不足もあり、女性活躍は全国的な課題だ。同市の取り組みが成果を生むことを期待したい。

 同市は、国連が30年までに達成を目指す持続可能な開発目標(SDGs)に、いち早く17年度から取り組み始めた。SDGsには17項目の目標がある。このうち同市は目標5の「ジェンダー平等を実現しよう」を軸に据え、女性活躍に注力する。「50年、100年後も持続可能な鯖江」を目指す上で、女性活躍の推進が効果的との考えからだ。

 もともと同市には女性が活躍してきた素地がある。女性就業率(15年調査)は55・1%で、県内市町で最も高い。都道府県別で全国1位の福井県(52・6%)の中でのトップだから価値がある。眼鏡、繊維、漆器といった製造業を中心に、伝統的に女性が戦力となってきたほか、近年は県外出身の若い女性職人も増えている。女子高生でつくる市役所JK課、“おばちゃん”による市OC課など女性がまちづくりに積極的に関わってきた実績もある。

 19年度の施策は従来の強みを生かし、いっそう伸ばしていく狙いだ。女性が働きやすいようソフト、ハード両面で支援する新規事業では、育児・介護休暇などの制度や、更衣室、キッズスペースを市内企業が整備する際、費用を一部補助する。レディース健診の充実などヘルスケア事業も新たに始める。活躍する女性を映像で記録し、世界へ発信する事業にも取り組む。

 さらにSDGsと女性活躍を一体的に推進するため、部署を改組して設ける「めがねのまちさばえ戦略課」に関連事業を集約する。

 こうした施策の効果が期待される一方、課題も見えている。同市も県内全体の傾向と同様、女性の就業率は高いものの管理職、議員といったリーダーの割合は低い。同市が着目するのは「インポスター症候群」だ。「自分に自信が持てず、人よりも目立ってはいけないと無意識に決めつけている状態」で、女性の方がなりやすいといわれる。女性活躍の障害になるとみられ、解消に向けた対応を考えていく方針だ。

 家族の協力も欠かせない。女性は仕事、家事、育児、介護など既に十分すぎるほど頑張っている。日本は多くの先進国に比べ、夫の家事・育児時間が短いというデータがある。男性がもっと家の中での仕事を引き受けていかないと、外で女性が輝くのは難しい。例えばごみ出しをする男性は少なくないが、家の中のごみをまとめる作業も担ってこそ女性の負担が減る。男性の意識を変える啓発が必要であり、残業を減らして早く帰宅できるよう働き方改革の推進も求められる。

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