反原発の街頭活動に参加する金元幸枝氏=3月8日夜、福井県福井市大手2丁目

 「知事選出馬の意思を固めてくれなかったら、私たちは投票先を失うところだった。本当にうれしい」。毎週金曜夜に福井県庁前で行われている反原発集会。共産党県書記長の金元幸枝氏(60)に対し、支援者の一人がマイクを握ってこう述べた。大きな拍手に包まれる中、金元氏はいつものように柔和な表情を浮かべた。後日、自身のSNSにこうつづった。「私も、うれしくて、胸が熱くなりました」

【福井県知事選ほかの出馬表明者】⇒西川一誠氏⇒杉本達治氏

 現職の西川一誠氏(74)と前副知事の杉本達治氏(56)による保守分裂選挙の構図に、金元氏が挑む形となる見通しの今回の知事選。過去、3人以上が出馬した知事選で共産党系候補は軒並み苦戦した。金元氏の出馬表明は2月中旬だったが、焦りは感じられない。「日常的に国政、県政を変える運動をしている。戦い続けている延長に知事選がある」と、佐藤正雄県議は本人の気持ちを代弁する。

 保守の組織戦と一線を画し、街頭で地道に訴える。「候補者は3人いるが、原発を進めようとしている人たちと原発をやめようという私の対決だ」と政策の対立軸を明確に主張。県政の懸案の一つである使用済み燃料の処理処分は「県内、県外の問題ではなく、もう原発はやめる。廃炉にすると宣言する」ことが必要と声を張り上げている。

 県政のリーダーを決める選挙ではあるが、「安倍政権との対決」という旗印も鮮明に打ち出す。「安倍政治が極端にひどい。国政の問題点が大きな話題になっており、自民党政治への批判を追い風にしたい」と南秀一党県委員長。討論会や政見放送で政策と本人の魅力を県内各地に広めるべく、準備に余念がない。

 3月10日、福井市のフェニックス・プラザで開かれた党演説会。登壇した金元氏は「日本の政治を良くすることなしに福井県の政治をよくできない。自民の推薦を争うような2人を倒すべく頑張る」と力を込めた。「原発を止める」「新幹線関連の再開発より福祉負担軽減」「子育て支援や子ども医療費無料化の拡大といった政策を実現する」と、10分近く熱弁を振るった。

 「幸枝ちゃん、頑張って」「ありがとね、頑張る」。終了後、400人とがっちり握手を交わした金元氏。温厚な笑顔の内側に熱い闘志をたぎらせている。

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 2019年3月21日告示の福井県知事選に立候補を表明している3氏の動きを追った。

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