【論説】女性の政治参加を促進する「政治分野の男女共同参画推進法」(候補者男女均等法)が昨年5月に全会一致で成立して以降、初の大型選挙を迎える。国政や地方選挙で候補者数を「できる限り男女均等」とし、候補者数の目標を設けるよう各政党に努力義務を課すものだ。

 間近に迫る統一地方選では、政党に属さない無所属候補が多いため、法律通りに女性候補が増えるかは見通せない。問題は夏の参院選に向け、政権与党である自民、公明両党が数値目標の設定を見送る方針に言及していること。「努力義務」の限界がはや露呈した格好だ。

 ■「現職男性多く」■

 内閣府のデータでは、参院の女性議員の割合は20・7%で、衆院は10・1%しかない。世界の国会議員が参加する列国議会同盟が発表した報告書(一院=衆院)によると、日本は193カ国中165位で、先進7カ国(G7)で最下位だ。

 さまざまな人々の多様な意見を取り入れることで豊かな社会を築く―。その先駆けが女性の政治参加である。議員立法である候補者均等法が成立した際、超党派の議員連盟会長は「女性が政治分野で活躍できれば、一つ高いレベルの成熟した社会になる」と意気盛んだった。

 しかし、「出発点になる」はずの次期参院選がこれでは有名無実というほかない。自公の言い分は「現職男性が多く、対応が難しい」。これでは一向に進まない、そんな疑念が拭えない。義務化すべきだが、与党議員らから「男性候補への逆差別だ」といった声が上がる中では、ハードルは極めて高い。

 ■「両立困難」78%■

 国会議員よりもなりやすいと思われる地方議員でも女性の進出ははかばかしくない。2016年末の総務省のまとめでは、全都道府県議に占める女性の割合は9・9%と国政よりも低い。福井県議は3人、8・3%と全国平均を下回っている。

 さらに17年末の内閣府集計では市町村議会も含めた地方議会のうち「女性ゼロ議会」が2割弱にも上っている。県内では3町会がゼロの状態だ。

 全国の女性地方議員に女性が少ない原因を尋ねたアンケートでは「議員活動と家庭の両立が難しい」が78%、「政治は男性が行うものという固定的な考え方が強い」は59%あった。国会議員にも共通した悩みだろう。

 先日、国会改革を掲げる自民党議員が提案した、妊娠や出産前後の女性議員がインターネットで採決できる「遠隔投票」に関し、党側が導入を見送る方針を固めたとの報道があった。憲法違反を指摘されたためだが、改革の芽を摘む姿勢では「両立」の環境は整うはずもない。

 ■米国下院4ポイント伸長■

 注目したいのは米国だ。昨年秋の議会中間選挙で過去最多の女性連邦議員が誕生。比率(下院)は一挙4ポイント余り伸び、23・5%になったという。16年の大統領選でヒラリー・クリントン氏が敗れたことで火がついたとの見方だ。セクハラ被害などを訴える「♯MeToo」運動の高まり、トランプ氏の言動が拍車を掛けた可能性もある。

 運動は世界中に広がったが、日本はさほどでもなかったと映る。財務省幹部によるセクハラ事件や、大学の医学部入試で女子が不当に扱われていた問題が発覚したのにもかかわらず、にである。女性はもっと怒りの声を上げるべきではなかったか。

 働き方改革にしても、進んだとはいえ、単なる時短運動に化した感が否めない。女性が働きやすい環境を実現してこそ、改革に値するはずだ。安倍政権は「女性活躍社会」の看板を放り出していないか。

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