【越山若水】「広場恐怖症」という言葉を、今まで知らなかった。千葉ロッテの永野将司投手が、ツイッターで公表した症状である▼いくつかサイトを調べてみた。文字から受ける印象と違い、恐怖や不安を起こす状況は「広い場所」にとどまらず、さまざまだ。永野投手は新幹線や飛行機の移動ができなくなっている▼遠征がつきものの野球選手にとって、大きな負担なのは想像に難くない。今年は症状が悪化しキャンプにも帯同できなかった。今まではどう耐えていたのか、不思議なくらいである▼有症者が感じる恐怖は相当なものらしい。店舗に入るのが怖い人には、通信販売が買い物の頼みの綱となる。公共交通機関を避けている人だと、職場の近くへの引っ越しを余儀なくされることもある▼永野投手は治療と選手生活の両立に取り組む。遠征しなくて済むよう球団から配慮があればきっと可能だろう。ホームゲームに登場、自慢の速球を投げ込む姿をぜひ見たい▼「適材適所に配属し少しの配慮さえしてもらえれば十分働ける人は多い」。対人恐怖などの社交不安障害がある男性の手記の一文だ。いろんな悩みの人にあてはまるだろう▼永野投手の公表で同じ症状の人が続々と「勇気をもらった」とネットに書いている。誰かの困難のため自分にできる「少しの配慮」とはなんだろう。投稿を読んでいるとそんな思いが巡る。

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