福井県議選に出馬予定の「2世新人」の後援会が開いた集会=3月3日、福井県内

 3月29日告示の福井県議選には、政治家の父を持ついわゆる「2世」4人が新人として立候補を予定している。選挙区こそ違うが、同時に2世の新人が複数出馬を予定するのは極めて異例だ。いずれの父親も現職を含め県議経験者。「地盤、看板、かばん」を受け継ぐ2世県議は増えるのだろうか。

 立候補を予定しているのは、山崎正昭参院議員の長男、山崎利昭氏(46)=大野市選挙区、山本拓衆院議員の長男、山本建氏(35)=鯖江市選挙区、松崎晃治小浜市長の次男、松崎雄城氏(25)=小浜市・三方郡・三方上中郡選挙区、野田富久県議の長男、野田哲生氏(46)=福井市選挙区=の4人。山崎、山本、松崎の3氏は祖父も政治家で、3世となる。

 4陣営とも選挙戦に向け準備を進めている。2世新人の一人は「『大変だぞ』と、父は最後まで出馬に反対していた」と明かす。それでも、夢だった政治家を目指すことを決めた。出馬表明後、平日の朝は幹線道路に立ち、有権者へのあいさつを続けている。父親の知名度から「ある意味、自己紹介はいらない」とアドバンテージを感じている。一方で「息子という事実は変わらないし、批判の声も聞く。でも、自分の考えや人柄を見てほしい」と決意を口にする。

 別の2世は「選挙は家族を含め、地域の支援者にも苦労がある」と父親の活動を見て痛感している。ただ、「県議選は誰かの地盤を引き継がないと勝てない」と言い切る。この新人の後援会長は「政治が家業になって何が悪いのか。決意した息子の覚悟を見てほしい」と強調する。

 「やりにくい」。2世と選挙区が重なる中堅県議はぽつりつぶやいた。選挙区内を歩くと、有権者からは「現職政治家の息子の出馬はいかがなものか」との声を聞くが「やはり強敵」と厳しい選挙戦を覚悟している。「2世は『地盤、看板、かばん』があって、本当の選挙の苦労を知らない。2世一族と戦っている感じだよ」と痛烈に皮肉った。

 一般の有権者はどう見ているのか。40代の男性は「仕事を辞め、退路を断って出馬を決めているんでしょう。父親と息子は違うからいいのでは」と好意的に受け止める。一方で、特定の一族に権力が集中することへの懸念の声は多く、根強いものがある。

 県議会事務局によると、現在父親が県議を務めていた現職県議は、引退を表明している1人を含め4人いる。

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