3月15日、ニュージーランド南島クライストチャーチのモスクで起きた銃乱射事件で、男性を搬送する救急隊(ロイター=共同)

 外出が禁止され静まりかえった通りを大きな銃を携えた警察官が警戒に当たり、病院には次々と負傷者が搬送された。ニュージーランド南島のクライストチャーチの2カ所のモスク(イスラム教礼拝所)で3月15日起きた銃乱射事件。発生時に現場周辺に滞在していた福井県越前市の男子大学生(19)が、福井新聞の取材に緊迫した状況を振り返り、「実行犯が拘束されるまでは本当に怖かった。旅行先でこんなことが起きるとは思わなかった」と語った。

 学生は観光で2月25日から同国を訪れている。最初の銃乱射があった3月15日午後1時45分(日本時間同午前9時45分)ごろは、現場のモスクから約1・5キロ離れたホステル(簡易宿泊施設)で昼食を取っており、銃声には気付かなかったという。

 約1時間後、2日前に宿泊したゲストハウスに忘れ物を取りに行くため外に出ると、いつもはにぎやかな通りに人影がほとんどなかった。このゲストハウスは事件のあった二つのモスクの中間付近にあり、近づくほどパトカーの数が増え、警察官が怒鳴り合うように話していた。負傷者が手当てを受けているのか、途中にある病院に報道陣が詰めかけて物々しい雰囲気だった。

 ゲストハウスに着くと、玄関に鍵がかけられていた。中に入れてくれたオーナーに「警察からの通告で君を外に出すことはできない」と言われた。リビングに20人ほどが集まり、イスラム教徒とみられる人々が泣き叫び、血を流した負傷者が運ばれる様子が繰り返し流れるテレビに、声もなく見入っていた。ゲストハウスにいる時に、日本の家族からの連絡でやっとモスクが襲撃されたと分かった。

 午後6時半(日本時間同2時半)ごろ、ようやく外出できるようになったという。その頃には街も落ち着きを取り戻していたが、学生は「事件がすぐ近くで起きていると分かっても、話が大きすぎて実感がなく、不安だった」と語った。

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