”人生に答えはない”と痛感した渡辺謙 (C)ORICON NewS inc.

 俳優の渡辺謙(59)、広末涼子(38)、寺田心(10)が15日、東京・渋谷のNHKで8Kスペシャルドラマ『浮世の画家』(総合:30日 後9:00/BS8K:24日 後9:00)の試写会に出席した。3人は劇中で父・娘・孫を演じた。

【写真】真っ白な衣装が似合う広末涼子

 同ドラマは、2017年度ノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロ氏の出世作を89分の8Kドラマとして制作。舞台は終戦後の日本。焼け跡から徐々に復興の姿を見せていく街の中、一人の老画家が過去の記憶と向き合い、虚実のはざまで悶え苦しむ姿を通して、記憶のあいまいさが描かれている。

 渡辺は「原作を読んだ時にこれはドラマにならないだろうな、と正直思いました」、広末も「もっと地味で退屈なものになる危険性を秘めていると思っていた」と遠慮なく語った後、渡辺は「音楽がついた途端にものすごいサスペンスになった。ドラマとしての総合芸術としての深みみたいなものも感じられて、重厚感がある」、広末も「想像以上に面白かった。クラシックで先駆的で見ていて充実感があるというか、見ごたえがある」と、完成した作品を絶賛した。

 主人公の小野益次を演じた渡辺は「8Kということで小手先の芝居をするのはやめよう、今、自分の中にあるものをそのまま、ありのまま、感じるままを益次という男の人生に乗っけるしかないと思って、悩みながら楽しみながら撮影しました」と回想。8Kは現在放送されているフルハイビジョン番組の16倍もの解像度を持つ、超高精細な次世代の映像規格だが、それゆえにあえて「ノーメイク」で演じたという。「薄皮一枚乗っけてしまったら、人間そのものに見えなくなる。人間の生の部分を撮っていただいた」と明かした。

 さらに渡辺は「結局、やり終わって感じていることは、人生に答えはないんだな、と痛切に思いました。自分が考えていることと人が思っていることもまったくセイム(same=同じ)ではないんだな。年齢的に『終活』とはいわないが、いずれくるであろう自分の人生の終焉をどう受け止めて感じるべきなのか、ちょっと先取りしてこの役を通して考えさせられました」と話していた。

 寺田が演じた村上一郎が劇中で描いた怪獣の絵は、寺田が実際に描いたもの。「絵を描くのは好きなんですが、上手ではないので、難しかったです。けっこう描いて、描いて、それをドラマで使ってくれたのがうれしかった」と、喜びを語る寺田に、渡辺は「上手だったよ」。老画家の役でありながら劇中で絵を描くシーンがなかった渡辺は「絵心なくて(笑)。絵を描かずに済んで心からよかったと思う」と苦笑い。なぜ絵を描くシーンがなかったのか、その謎解きもドラマの見どころとなっている。

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