国立大学法人の統合は「必要性やメリットをじっくり検討していく」と話す上田孝典氏=福井県福井市の福井大学文京キャンパス

 4月に就任予定の福井大学次期学長で現理事(企画戦略担当)・副学長の上田孝典氏(69)が、福井新聞のインタビューに応じた。全国の複数の国立大学で動きが表面化している運営法人の統合について、福井大学では定員割れの学部がないことなどを理由に「動きはない」と明言。人工知能(AI)の進歩を踏まえ、さまざまな分野に対応できるよう現在10専攻ある大学院工学研究科を3専攻に再編する展望を示した。

 -全国で国立大学法人の統合の動きがある。

 福井大学は2003年に旧福井大学と福井医科大学が統合しており、既に統合済みとも言える。国からの人件費がさらに削られ、少子化で新入生が減ってくれば対応しなければならないが、今のところ定員割れの学部はなく、何が何でも統合しなければならない状況ではない。全国でも四つの大学グループしか手を上げておらず、方向性を見極めながら必要性やメリットをじっくりと議論していく。

 統合よりも、まずは16年に設けた国際地域学部を確立したい。「国際」と「地域」という一見矛盾した名前の学部だが、目標は地域の活性化だ。学生が世界に出ていき、得た経験を地域に還元する流れをつくりたい。

 -群馬大学と宇都宮大学が20年度に「共同教育学部」を設置する。福井大学も金沢大学、富山大学と教員養成課程の連携を協議するワーキンググループを設けているが進展は。

 北陸では積極的に連携を推進するというわけではなく、動きはないと聞いている。

 -急速に進歩するAIの研究をどう進める。

 最先端の人工知能の開発を進めるのは予算的に難しいが、(福井大学の)子どものこころの発達研究センターが、注意欠陥多動性障害(ADHD)の子どもは脳の特定の部位に特徴が現れることをAIによる解析で明らかにするなどAIを応用した成果が出ている。これを伸ばしたい。

 AIの進歩により、今ある職業が流動的になっている。大学院の工学研究科は現在、専門分野を10種類設けているが、これからの時代、一つの専門分野しかできないのでは対応しきれない。ものづくりや情報といった三つの専攻に大ぐくりにして、学生の職業の流動性を高めたい。

 -高齢化が進む中、地域医療にどう取り組む。

 永平寺町と開設する診療所で、町民に充実した医療を提供するとともに、若い総合診療医や看護師に地域での経験を積ませる。在宅や施設に入る患者が増えており、数が圧倒的に不足している医師だけでは地域医療はできない。看護師が在宅や施設の患者を巡回し、危険な場合に医師に連絡して駆け付けられるようにするのが効率的だ。医師や看護師のスキルを高め、地域医療のプロを育てたい。

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 上田氏は昨年11月に次期学長予定者に決定。3月末で任期満了となる眞弓光文学長(70)の後任で、3代続けて医学部出身の学長となる。任期は4年。

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