万引犯への人件費請求を周知する店内の張り紙=福井県内

 逮捕された男(74)が福井県福井市内のスーパーで万引したのは柿など食料品2点で514円分。前科があった男は2019年1月、福井地裁で懲役6月の実刑判決を受けた。「なぜ従業員の貴重な勤務時間を事情聴取などで割かれなければならないのか。厳重な処罰を」。裁判で読み上げられた店長の憤りは大きかった。店にとっては、商品代だけでなく人件費の損害も深刻だ。そうした中、被害を減らそうと、万引犯に人件費を損害賠償請求している企業が福井県内にある。

 福井県内外で大型ディスカウントストアを展開するPLANTは2008年、万引犯に対し、商品代に加えて従業員や警備員の人件費を請求する対策を始めた。警察への引き渡し、事情聴取や実況見分の立ち会い、被害届の提出に要した時間など、従業員らの業務に支障が出た時間を5分単位で時給換算し、間を置かず万引犯(未成年の場合は保護者)に賠償金として請求している。

 「万引犯を捕捉したら原則警察へ通報している」という同社は18年9月までの1年間、全23店舗で150人を取り押さえた。うち129人に計92万円の人件費を請求し、119人から払い込まれた。請求の平均額は7100円で「素直に応じるケースが多く、相手からのクレームはほぼない」という。近年の平均請求額は6千円ほどで、9割以上の万引犯が支払っている。回収率アップの工夫として、郵便局の払込用紙を相手側に送っている。

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