旧大川小学校の裏山に登り、弟を亡くした永沼悠斗さん(左端)の話を聞く福井高専の3人=2月26日、宮城県石巻市

 震災の2日前、同市で震度4を観測する地震があった。部活の自主トレでたまたま海岸にいた永沼さんは、津波が来るかも知れないという恐怖を感じたが、その日に家族と津波や避難について話すことはなかった。「人生最大の後悔」と述べた。

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 「一輪車の練習をした」「カーブのある廊下でぞうきんがけ楽しんだ」「おばけやしき大泣き」…。

 旧大川小学校近くのプレハブ小屋に展示されている500分の1の「まちなみ復元模型」。幅広い世代が思い出を記した旗が無数に立てられている。

 「震災では思い出も奪われた」と永沼さん。復元模型の完成は「懐かしく、楽しく、そして悲しい。非日常の仮設住宅暮らしで忘れていたことが思い出せた。心の復興に役立ってくれた」と話した。

 直前まで歩いていた更地のかつての姿を思い浮かべ、福井高専4年の中島和さん(19)=福井県鯖江市=は「集落があって、学校があって、私たちと同じように思い出が詰まっている」と涙ぐんだ。

 永沼さんは「(被災地で聞いた)この瞬間の“熱”を思い出せるよう、話し合ったり避難場所を実際に歩いたりして、防災を日常にすることをみんなで考えて。聞いて経験したことを福井で共有してほしい」と提案した。

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 2月26、27日、福井高専4年の中島和さん(19)、福田奈月さん(19)、水島美咲さん(19)の3人が宮城県内の被災地を訪れた。同県仙台市に本社を置く河北新報社の武田真一防災・教育室長(60)が案内役を務めた。3人は同校「地球物理学研究会」に所属し、過去の気象災害の文献調査などに取り組んでいる。

 ⇒福井高専の3人によるリポート

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