【論説】都市圏から地方に移住し、地域活性化に取り組む若者たちを支援する国の「地域おこし協力隊」制度が今年で発足10年を迎える。当初の隊員数は全国の31公共団体で約90人だったが、2017年度は約千団体で5千人近くに増加した。

 さらに外部からやって来た隊員の斬新な視点と前向きな行動力が住民の意欲を喚起し、全国津々浦々で地域の特性を生かした主体的な活動が発生。地域を元気にする存在に成長しているケースもある。福井県はどうなのか。協力隊の現状と今後の可能性について考えたい。

 ■地方活性へ国が経費■

 同制度は09年度に総務省が導入した。過疎地域を抱える市町村などに都市部の若者らが生活拠点を移し、地域の魅力発信や観光振興、地場産品の開発・販売、農林水産業の作業、住民の生活支援など多様な仕事に従事してもらう。活動期間は1年以上3年以下、最終的には定住を目標にする。

 市町村などが希望する業務を隊員に委嘱し、活動に必要な経費は総務省が1人当たり年間最大400万円を負担する。元気な地域づくりに助力が必要な自治体と、地方で生きがいを見つけたい若者の双方にとってメリットがある。

 全国の隊員数は、14年度から参入した農水省の制度も含め、初年度に比べ56倍に急増。約7割は20~30歳代、約4割は女性が占めている。特に任期終了後に着任地に定住した隊員は半数以上の63%に達し、うち3割ほどが新しい事業を起業するなど成果を挙げている。

 ■県内累計は125人■

 翻って福井県の場合。最初の09年度はあわら、若狭、池田の3市町が計5人の隊員を受け入れただけ。その後、他の市町も募集を始めたため、15年度は15市町で計28人と最高に達した。過去9年間に着任した新規隊員の累計は敦賀市を除く16市町で125人に上っている。

 中でも特産の開発や販売に力を入れる池田町が計30人と最も多く、次いで農業生産法人の実績がある若狭町の17人。大野市12人、坂井市10人と続く。年齢別では20歳代が半数、次に30歳代が多い。男女比は男性が6割を占める。17年度現在で60人が各地で頑張っている。

 また退任後に定住したのは74人中の43人。58・1%の実績は全国平均をやや下回るもののまずまずの成績。全員が残った初年度以後、一時は20~40%に低迷したが、17年度は21人のうち76%の16人が引き続き居住し、地域の戦力となっている。

 ■定着促進へ県が支援■

 最近の特徴を挙げれば、移住先で起業を手がける隊員が増えたこと。県が本年度から始めた「定着支援金交付」も追い風になっているようだ。退任後も同じ市町で活動を継続する人に最大100万円(市町が変わる場合は50万円)を補助する制度で、1年で6人が認定された。

 内容は多様で、鯖江市では眼鏡や漆器業者と連携した体験型マーケットを企画。南越前町では古民家を再生したゲストハウスを中心的に運営している。小浜市では同じく古民家でカフェやクラフト体験教室を開き、高浜町では農家民宿を始めたケースもある。

 地域の魅力を再発見し域内外に情報を発信、また住民自身が活性化に動き始めるようになるなど、文字通り「地域おこし」の推進役になっている。今後も定住率がアップし新たな挑戦が続けば、個性的な地域づくりに進化する可能性がある。

 国の「地方創生」が機能せず「東京一極集中」が一向に止まらない中、人口減少や高齢化で苦しむ地方にとっては、数少ない明るい兆しとしてますます期待が高まる。

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