古書店「ホシとドーナッツ」店主の佐藤実紀代さん=福井県福井市中央1丁目のニシワキビル

 JR福井駅西口(福井県福井市)の雑居ビルで水曜だけ開店する古書店を営むフリー編集者の佐藤実紀代さん(37)=福井市=が、「出版できる本屋」を目指して準備を進めている。店舗を拠点に出版も手掛けることで「読み手と表現者を最短距離でつなぐことができるはず」と佐藤さん。福井に潜在する「表現者」を後押しし、地元で多様な文化や考え方に触れられる機会をつくりたいと考えている。

 古書店「ホシとドーナッツ」は、築約40年のニシワキビル1階(同市中央1丁目)で、水曜限定で営業。元居酒屋の空間に、さまざまなジャンルの古本を中心に新刊を含め約800冊が所狭しと並ぶ。元々あったカウンターといすをそのまま使い、本を通じて人と人がつながるサロンのような場として「ホシド」の愛称で親しまれている。

 幼い頃から本好きだった佐藤さんは、大学卒業後に書店やデザイン事務所に勤務。出産を経て2012年からフリー編集者として活動する傍ら、本の面白さを発信する催しを開いてきた。ニシワキビルで営業するクマゴローカフェのリノベーション事業に参加した縁で18年3月、書庫として借りていた空き店舗に「ホシド」を構えた。

 来店者からは「小説を書きたい」「家族の作品を本にしたい」との声が想像以上に聞かれた。「本を読むだけだった人が表現者に転じ、また新しい読み手が勇気づけられて次の表現を生み出す。そんな循環を見てみたい」。書き手の依頼を受けたり、自ら企画したりして、伝わりやすく売れやすい本を形にしていきたい考えだ。

 県内の一般書店は売れ筋の本しか取り扱えず、個性的な本に出会いにくいと感じている。「福井では異端な面白さを知る機会が少ない。福井にも面白い文化があることを知ったら、若い人にまちへのリスペクトも生まれるんじゃないかな」と思い描いている。

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