漫画「いのちのバトン ~命を想う心・つなぐ勇気~」の一場面

 突発的な心室細動で高校生の長女を亡くした経験から、自動体外式除細動器(AED)の普及啓発活動を進めている福井県福井市の川崎眞弓さんの活動が漫画になった。大手出版社の月刊誌で2月から3回シリーズで連載が開始。川崎さんは「漫画を読んだ人が、AEDの講習会に行ってみようかなと、人の命を守るために一歩を踏み出すきっかけになってくれれば」と話している。

 川崎さんの長女=当時16歳=は2002年、高校の体育祭のリレーで80メートルを走りきって次の走者にバトンを渡した直後、意識を失って倒れ心肺停止状態に陥った。心臓マッサージと人工呼吸が行われたが、救急車が到着したのは15分以上たってからだった。長女は病院で4日後に息を引き取った。

 元気だった娘がどうして死ななければならなかったのか-。突然死について調べているうちにAEDのことを知り、普及啓発活動に関わるようになった。04年に国が医療従事者以外のAED使用を解禁したのを受け、福井県に学校や競技場への設置を要望、マラソン大会でチラシを配るなどし、全ての県立学校へのAED導入につなげた。

 「機器は整備されても使用方法を知らなければ命を救えない」と、08年にAEDの使い方を広める団体「命のバトン」を仲間と結成。翌年にNPO法人格を取得し、理事長に就いた。小学校での出前授業や各地での講習会で、年間約3千人にAEDの操作方法や心肺蘇生法を教えている。

 漫画は、以前から川崎さんの活動を知っていた漫画家・河崎芽衣さんが、活動10年の節目にと連載を提案。川崎さんへのインタビューや講習会の取材を基に漫画化し、秋田書店の月刊漫画誌「フォアミセス」(毎月3日発売)で、2月発売の3月号から連載を始めた。タイトルは「いのちのバトン ~命を想う心・つなぐ勇気~」。「悲しい事故が起きないように」と願い奮闘する川崎さんの姿を丹念に描いている。

 川崎さんは「AEDの認知度は、10年前と比べて格段に上がった。この機会に救命への意識がさらに高まり、思いやりによってより多くの人の命が救われる社会になってほしい」と話している。

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