【論説】沖縄県民の「反対」は7割超にも上った。国民の8割以上が結果を尊重すべきだと考えている。政府が一度立ち止まって対話をすべきなのは明らかだ。

 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古沖の新基地建設を巡る県民投票は「反対」が43万4千票余に達し、72・2%を占めた。ただ、県民投票結果に政府を縛る法的拘束力はない。安倍晋三首相は「結果を真摯(しんし)に受け止める」と述べたものの、普天間の危険性除去に向け「移設をこれ以上、先送りすることはできない」と埋め立て工事の中止は否定した。

 共同通信社の電話世論調査に86・3%が「政府は投票結果を尊重すべきだ」と回答している。国土の1%の面積もない沖縄に在日米軍の専用施設が7割もある現状や、2度の知事選で示された民意を国が顧みてこなかった経緯に理不尽さを感じているからにほかならない。

 国の不誠実な姿勢は、辺野古沖の軟弱地盤に関する説明でも繰り返されている。沖縄県が明らかにした政府のデータでは、地盤改良が必要な面積は約65ヘクタールで北東区域の約6割に及び、砂を入れた鋼管約7万7千本をそこに打ち込む。岩屋毅防衛相はこれまで「実績のある工法で施工可能だ」としてきたが、25日の衆院予算委員会で防衛省側は「精査が必要」とした。

 首相は「世界で最も危険と言われる普天間が固定化され、危険なまま置き去りにされることは絶対に避けなければならない」と主張する。だが、沖縄県は新基地の完成までには13年、約2兆5千億円以上を要すると試算しており、逆に危険性が13年間も放置されることになる。

 そもそも普天間が返還されるのかが不透明だ。辺野古で予定される滑走路は約1200メートル。普天間の半分以下の長さであり、大型機などの利用は見込めないとされる。2013年の日米合意では返還の条件として、緊急時の民間施設の使用を挙げている。これが整っていないことを政府も認めている。辺野古新基地建設イコール普天間返還とはなっていないのだ。

 今回の投票で、反対票は投票資格者の4分の1(速報値28万8398票)を超えた。条例に従い、玉城デニー知事は近く首相や在日米大使館へ通知するという。首相も玉城氏との会談を念頭に「全力で対話を続けたい」としている。だが、これまで2度の面談と同じように、玉城氏の主張を聞き置くだけの姿勢は許されない。

 県民投票は1996年に続いて2回目で、前回も米軍基地の整理・縮小に「賛成」が圧倒的多数を占めた。政府は、外交や安全保障が「国の専権事項」とし地元の声に耳を傾けてこなかった。そうした事態は、沖縄以外の地方自治体でもありうることを肝に銘じる必要がある。一向に変わらない状況に「ノー」を突きつけた沖縄県民。それは地域の自己決定権をどう守るかの闘いであり、目を離すわけにはいかない。

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