受験勉強が不向きな子の進路は

 オフ会に参加していたフリースクールを経営する男性は自ら不登校を経験しており、当時の思いを伝えてくれた。「不登校になると絶望するんですよ。敷かれたレールのどこにも自分が乗れないことに絶望する」。中学1年生から不登校になりフリースクールに進んだため、学力に合わせて大学を選ぶという発想はなく、進路の選択は手探りだったという。「自分はどこに向かっていいかさえ見えなかった。だからレールが敷かれているのはちょっとうらやましい」と複雑な思いを口にした。

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 経営しているフリースクールで接する子どもたちについての悩みも語った。「卒業が近づくと子どもたちが、さまよいだす。本人や保護者にいろんな選択肢があることを伝えているが、選択肢を絞った方が進路指導しやすい面もある。ただ、選択肢を絞ることで子どもたちの力を失わせてしまっている感覚もある」。葛藤は根深かった。
 
 男性は、不登校や引きこもりなどになった子どもたちのための新しいルートが生まれることを願っているという。安定した職業に就くためのルートではなく、「非社会的」なままでも貧しいながらも生きていくことができるルートだ。「貧しい生活になるかもしれないけど、ルートがないと思って引きこもるよりずっといいと思う」。語る言葉には説得力があった。

 ただ、ほかの参加者からはその新しいルートを社会的な一つの道として認められるか不安視する声が出た。若新さんは、若年無業者(ニート)がニートのまま幸せな暮らしができるよう、ニートが取締役を務める「NEET株式会社」を立ち上げた際の社会的な反発を引き合いに出した。人間はある程度の努力や我慢をしないといけないというのが社会的な姿で、ニートは努力して社会復帰すべきだと社会からその存在を否定されたという。「普通の人たちは校則を守ったり、嫌な勉強をしたりするのを交換条件にまっとうな社会人ということが担保される。ニートという生き方を認めてしまうと頑張って我慢してきた自分たちがバカみたいになっちゃう。だからニートは助けられるべき、かわいそうな存在としてい続けなければならない」。多様な生き方を認められない社会を嘆いた。

 新しい道に歩もうとする子どもの選択を親が認めるかどうかも重要だとの意見も出た。県内の30代男性は「(進路について)親の同意がないのが一番つらい」と語った。若新さんも「親が、他人と違う選択肢を子どもがとることをあっけらかんと受け入れてくれれば、どんな結果になろうと精神的にはいい影響を与えるのでは」と指摘した。

 県内の40歳代女性も「幼い頃から子どもをいろんな人に会わせて、いろんな考え方を聞く体験をさせれば、いろんな選択肢があることが分かる。子どもが自分で調べたり決めたりするのは限界がある。まず親がしっかりしないと」と自戒の念を込め話していた。

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