農期入りを前に職人の手で次々に研磨される鋸鎌の刃=2月19日、福井県越前市武生柳町

 寒さが緩むとされる二十四節気の「雨水」の2月19日、春の本格的な農期を前に福井県越前市内の越前打刃物の工房で鎌の刃がのこぎり状になった「鋸鎌(のこがま)」の生産がピークを迎えている。職人たちは「昨年は大雪で注文が遅かったけど、今年は例年通り」と、研磨機で火花を散らしながら一枚一枚丁寧に仕上げている。

 専用の回転盤で刃をギザギザに目切りし、研磨や焼き入れなどの工程を経て完成する。越前市内で現在生産しているのは「カトウ打刃物製作所」(武生柳町)だけ。刃のギザギザが雑草の根に絡んで草取りがしやすいと根強い愛用者が多いという。

 農作業に応じて長さや幅が違う十数種類あり、2月中旬から稲刈りが終わる10月まで全国から注文が入る。この時期は、刃の長さが約20センチの草取り用を中心に1日300~400本を仕上げている。

 刃の目切りには経験が必要で、タイミングを間違うと目が粗くなったり細かくなりすぎたりする。同製作所の加藤義実社長(49)は「十分な切れ味が出るよう作っている。産地にこのような鎌があることを広く知ってもらいたい」と話している。

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