ティーバッティングで汗を流す選手たち=福井県福井市の啓新高室内練習場

 「たまには打ってこい」。そう植松照智監督に言われ、5番小野田渉冴は打席へ向かった。昨秋の北信越大会初戦。啓新は富山第一に0―2と先行され、迎えた六回。濱中陽秀の安打などで2死満塁とし、ようやく巡ってきたチャンスだった。

 福井県大会では打率2割台と振るわなかった小野田だが、ここで左中間を破る走者一掃の適時三塁打を放ち逆転。波に乗った啓新は七回にも2得点。富山1位の相手に6―2で快勝した。濱中は「最後まで諦めなければ必ずチャンスが来る。この試合以降はいつか逆転できるとみんなが自信を持てた」。

 県大会、北信越10試合のチーム打率は2割8分7厘と高くない中で、小野田は北信越できっかけをつかみ、3割5分3厘と大当たり。チームの準優勝に貢献した。

 打撃面でのレベルアップを図るために、練習メニューに取り入れたのが「5種類のティーバッティング」。地面に置いたタイヤに軸足とは逆の足を乗せて打つと、重心がぶれず変化球に対応できるという。タイヤをまたいで立つと「足を動かせないから、体の軸を中心に駒のように回って打つようになる。軸も意識できるし力もボールに伝わる」(穴水芳喜主将)。バットを地面と平行に振る練習も行い、好機での凡打が減った。

 多くはないが10試合で8盗塁を決めるなど足を絡めた攻撃も効果的だった。北信越準々決勝の遊学館(石川)戦は、5安打に抑え込まれたが結果は3―2で勝利。初回から刀根宗太郎や穴水が盗塁を決めて好機を演出し、先制して流れを引き寄せた。「きれいに勝とうとか思っていない。ワンチャンスを生かさないと勝てない」と穴水主将は強調する。

 対外試合解禁は3月8日。それまでは地道な室内での練習が続く。「大変だと思うが、試合の場面を想定するなど工夫して取り組み、どれだけ成長できるかが鍵」と植松監督は期待を込める。

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 福井県の啓新高校が春夏を通じて初の甲子園切符をつかんだ。戦う姿勢、投打の分析、指導者の育成方法などから、チームの強さに迫る。

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