優勝したムンフゾルさん(左)と筆者

 「リコー杯女流王座戦」は、海外招待選手枠を設けている唯一の棋戦である。

 女流棋士だけでなく女性奨励会員も出場資格があり、国内でのアマチュア予選、そして海外選抜大会があって、全世界の女性将棋プレーヤーに参加資格のある憧れの棋戦だ。

 2011年に創設され、第1期は中国の張天天さんが招待選手として来日。第2期はカロリーナ・ステチェンスカさん(現女流1級)が初戦で女流棋士に勝利して大ニュースになった。

 第4期からは外国人招待選手のための選抜大会が開催されるようになり、これまで中国の黄晟佳さん、ウクライナのビクトリア・リャスニャンスカさん、ベラルーシのタチアナ・ミリュコワさんが優勝して来日した。

 今年の海外招待選手選抜大会は2月16、17の2日間にわたって開催された。

 対局場はカロリーナ女流1級がアマチュア時代に腕を磨いたことで有名な81(エイティーワン)道場。多言語化されているため海外の将棋プレーヤーが集い、対局ロビーには世界中の国旗がはためいている。

 観戦や感想戦の機能が充実しており、全て無料で利用することができる。

 81道場がなければ選抜大会の実施はもとより、外国人プレーヤーのここまでの棋力向上はあり得なかった。

 海外への将棋普及に多大なる貢献をしているサイトである。

 大会参加資格は将棋連盟の支部や将棋クラブから推薦を受けた外国籍の女性。1団体につき3人まで推薦ができる。

 今年は8カ国から17人がエントリーした。内訳はフランス、ロシア、ベラルーシ、中国から3人。ウクライナから2人、モンゴル、ブラジル、スペインから1人。

 1日目は4ブロックに分かれて2敗失格のリーグ戦。それを勝ち抜いた者が2日目の決勝トーナメントに進出する。

 私はこの大会を初回からずっと見ているが、年々着実にレベルが上がっている。

 今回は三間飛車の速攻、棒銀、振り飛車穴熊などそれぞれが得意戦法を用いて多彩な戦型となった。

 決勝に駒を進めたのは、昨年の優勝者タチアナさんと、モンゴルのトゥルムンフ・ムンフゾルさん。このカードは2年連続で、タチアナさんの連覇なるか、ムンフゾルさんがリベンジを果たすかという勝負だった。

 対局の内容は先手を取ったムンフゾルさんが三間に振り、タチアナさんが棒金戦法で押さえ込みを図ったが、うまくさばいてムンフゾルさんの勝利となった。

 実はムンフゾルさんのことは以前から注目していた。

 今から3年ほど前、チェスのウーマンFIDE(国際チェス連盟)マスターの資格をもつ女の子が将棋に興味を持ち、将棋の本を読むため日本語を勉強しているらしいと耳にしたのだ。

 そして2017年3月、彼女が来日するというので会いに行った。その時は短い面会時間しかなかったが、片言の日本語で話してくれた。必ず強くなって日本に来る予感がした。

 この海外選抜大会には3度目の出場。普段、81道場では四段で指しているとの情報もある。

 チェスの方はFIDEのサイトにプロフィルが掲載されていて、18歳以下の女性では現在、世界ランキング6位だ。

 チェスプレーヤーが将棋のプロ公式戦に出場することは、グローバルなチェス界からも注目を浴びるはず。また一歩、将棋の国際化が進みそうだ。(北尾まどか)

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