山盛りのゴボウを次々と口に運ぶ男衆=2月17日、福井県越前市新堂町

 「ごぼう講」として知られる伝統行事「惣田正月十七日講(そうでんしょうがつじゅうしちにちこう)」が2月17日、福井県越前市国中地区の民家で行われた。羽織はかま姿の男衆が山盛りのゴボウを豪快にほお張り、今年の豊作を祈るとともに300年以上続く伝統行事を通じて地域の絆を再確認していた。

 持ち回りで会場を提供する宿主(やどぬし)の代々の名前を記録している地元の帳面によると、起源は江戸時代の1705年。厳しい年貢の取り立てによる村人の流出を防ごうと、一緒に食事を囲んで村の結束を強めるために始まったとされる。現在は45戸で講をつくり、今年は73歳男性が宿主を務めた。

 ゴボウ料理は男性が準備するのが習わし。前日に約300キロのゴボウを湯がき、手で裂いてみそ和えしたものがおわんに山盛りにされた。地域の女性たちもかっぽう着姿で宿主宅の台所で腕を振るい、ほかに5合盛りのご飯や焼き豆腐などで膳を飾った。

 神事の後、男たちは酒を酌み交わしながらゴボウを勢いよくぱくり。およそ半世紀に一度の大役を果たした男性は「村が一つにまとまらないと続かない行事。人の心の温かさを感じる一日になった」と話していた。

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