船上に揚げられたカニを選別する漁師たち。今シーズンは豊漁が続いている=2018年11月6日、福井県越前町沖

 山陰地方でズワイガニが豊漁となり、鳥取県では漁獲可能量に迫る勢いで推移している。福井県の越前がには、今のところ可能量を超えそうな水準ではないが、しけの日が少なく出漁が増えているのは山陰と同様で、県内の漁業関係者は漁期最後まで漁獲枠がもつか警戒している。残り枠が少なくなれば、今後解禁となる“庶民派”のミズガニ(ズボガニ)の漁獲量や価格に影響する可能性もあるからだ。

 ズワイガニの漁獲可能量は資源保護の観点から、資源量調査を基に国から各県へ割り当てられる。鳥取県では、今シーズンの漁獲枠のうち、昨年12月末までに9割以上を消化。その後、追加配分があったものの、各漁船の漁獲量を規制して操業しているという。

 一方福井県は、県水産課によると12月末時点で可能量385トンのうち約66%を消化。1月中旬には95トンの追加配分があり、1月末時点の消化率は約60%となっている。今後、例年通りのペースで漁獲しても、3月20日の漁期終了までにオーバーすることはなさそうで、規制の予定はないという。

 しけが少ないのは山陰も福井も同様なのに、なぜ漁獲量に差が出ているのか。同課や越前町漁協によると、県内の底引き網漁船は10トンほどの小型船が多く、出漁している時間は長くて30時間ほど。一方、鳥取県は50トン以上の大型船がほとんどで、一度漁に出ると1週間から10日ほどかけて大量に漁獲して帰港するため、福井より漁獲が過剰になりやすいという。

 ただ、山陰の豊漁を受け、福井の漁業関係者にも危機感はある。越前町漁協は「今のところ漁獲枠を超えるほどのペースではないが、今後の天候次第ではなんともいえない。残りの漁期は、枠の消化率をにらみながらの操業になる可能性もある」と指摘。消化ペースが早まり漁期終盤に漁獲量をセーブしなければならない事態を警戒する。

 そうなると特に懸念されるのは、2月19日から漁が始まるミズガニの漁獲量や価格への影響だ。ミズガニは成熟したズワイガニに比べて価格は安く、身がむきやすいと好む消費者もおり、需要は高い。ただ同漁協は、漁獲可能量の残り枠が少なくなると「漁師は価格が高いズワイの漁獲を優先するだろう」と推測する。

 ミスガニは近年、漁期短縮や越前がに全体の価格高騰により高値が続いているという。今季も漁獲量が減れば、さらに価格が上がり、庶民の味が“高根の花”になる可能性もある。

 越前町内の鮮魚店主は「福井県民が食卓で食べるカニといえばズボとセイコ。毎年ズボのシーズンになると、それ目当てで来店する人も多いし、解禁前から問い合わせがあるほど人気。値段が上がるのは困る」と、安定的な水揚げを求めている。

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