日本農業遺産に認定された三方五湖地域。たたき網漁などの伝統漁法が根付く点が評価された=福井県若狭町の三方湖、2018年12月1日撮影

 農林水産省が将来に受け継がれるべき伝統的な農法や農村文化として認定する「日本農業遺産」に、福井県の若狭、美浜両町にまたがる三方五湖地域が2月15日、県内で初めて選ばれた。400年以上にわたり水産資源の保全に努め、伝統漁法を継承してきた点などが評価された。同遺産に認定されたことで、三方五湖地域のブランド力向上による農林水産業のさらなる発展や観光面での活用などが期待される。

 日本農業遺産は、伝統的な農林水産業を営む地域を認定し、農業や農村文化を保護することが目的。国連食糧農業機関(FAO)が認定する世界農業遺産の“日本版”として、2016年度から始まった。

 三方五湖地域は、三方湖の「たたき網漁」など五湖それぞれの特徴に対応した伝統漁法が継承されている。地元漁業者が水産物を加工するなど付加価値を高め、口細青ウナギやコイの甘露煮などの伝統食を受け継いできた。

 審査では▽湖ごとに違う塩分濃度や水深などに対応した漁業が江戸時代から発展しながら根付いている▽水産資源の保護のため明治時代から漁協の前身となる組織を作り、漁獲量の制限などを行ってきた歴史-などが評価された。

 三方五湖地域では、農業遺産認定を目指し両町や県、地元漁協やJA、観光協会が「三方五湖世界農業遺産推進協議会」を16年に設立。同年行った1度目の申請では、伝統漁法とその周辺で営まれる農業の関連性が弱いなどとの評価を受け、1次審査を通過できなかった。

 今回は昨年6月に申請し、魚を捕りすぎない伝統漁法で生物の多様性を保全している点を中心に訴えてきた。ただ、世界農業遺産への申請地域には選ばれなかった。

 若狭町鳥浜の三方湖畔には15日、認定を記念した横断幕が設置され、同協議会会員ら約30人が喜びを分かち合った。西川一誠知事は「大変喜ばしい。これを契機に三方五湖地域をはじめ嶺南地域の振興につなげていきたい」とコメント。同協議会長の森下裕若狭町長も「多くの人が訪れ交流する、誇り高い三方五湖を次世代へつなぎ、発信していきたい」と述べた。

 今回の認定は、滋賀県琵琶湖地域と兵庫県兵庫美方地域、山形県最上川流域など、三方五湖地域を含め計7県7地域だった。日本農業遺産は計14県15地域となった。
 

関連記事