【論説】米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設を巡り、沖縄県民投票がきょう告示される。5市長が不参加を表明するなど全県での投票実施が一時困難視されたが、新基地建設への賛否を「賛成」「反対」「どちらでもない」の三つの選択肢で問うことで回避された。24日に投開票される。

 沖縄での県民投票は1996年9月以来となる。95年の米兵による少女暴行事件を受け、日米地位協定の見直しと米軍基地の整理・縮小への賛否を問うものだった。結果は投票総数の89%が「賛成」を投じ、全有権者数でも53%に達した。

 だが、民意が求める地位協定の抜本的な見直しがなされないばかりか、在日米軍専用施設の7割が沖縄に集中している。こうした現状は一義的には「防衛は国の専権事項」としてきた政府の責任だ。一方で「本土」の国民は真剣に向き合ってきただろうか。今回の県民投票では傍観者然とせず、その是非を考える機会としなければならない。

 沖縄では昨年9月の知事選で新基地反対を掲げた玉城デニー氏が過去最多の39万票余りを集め当選した。既に民意は示されたとの見方があるが、知事選は争点が多岐にわたる。新基地問題の1点に絞って問うべきだとして市民グループが署名を集め、直接請求により県民投票が実現した。

 投票結果には国に対する法的拘束力はないが、最も得票を集めた選択肢が投票資格者の4分の1に達した場合、知事は結果を尊重しなければならない。安倍晋三首相や米大統領に結果を通知するとも定めている。4分の1は約29万票であり、知事選からいえば反対派のハードルは高くない。

 ただ「どちらでもない」を加えた3択に変更されたことから流動的との指摘もある。新基地建設に「ノー」を突きつけても「普天間飛行場の固定化につながる懸念が強い」などと迷う人も少なくないからだ。

 これは投票不参加を表明した5市の市長らの主張でもあった。投票権を奪われる市民らの猛反発もあったが、3択にしたことで不参加を撤回させた格好だ。人口の約3割が棄権しては投票の意義が問われる可能性があった以上、やむを得なかったとみるべきだろう。

 普天間の固定化回避は玉城氏にとって重要命題だ。新基地とは切り離して普天間返還を目指す方策について説明を求めたい。「反対」の民意が示されたとき、安倍政権こそが向き合うべき課題でもある。辺野古の軟弱地盤対策に長期間を要するとの試算もある。危険性が解消されない普天間の運用停止に向け米側と早急に話し合うべきだ。

 県民投票が新たな分断を生むと危惧する声もある。しかし、それ以上に長年民意が顧みられない構図が分断をあおってきたのではないか。対等であるべき国と地方自治体の関係を無視し、アメとムチを使い分けてきた政府の姿勢がもたらした結果だ。それを黙認してきた本土の国民も責任を自覚する必要がある。

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