【論説】野球に取り組む子どもたち、特に投手の故障予防について、議論が熱を帯び始めた。昨年12月、新潟県高野連が今年の春季新潟大会で球数制限を導入すると決定。1月には、全日本軟式野球連盟が学童野球での球数制限を検討していることも明らかになった。

 子どものけが防止には有力プロ選手からも後押しとなる発言が出ている。投球過多によるけがから、将来ある選手をどう守るのか。関係者の前向きな取り組みを期待したい。

 ■85%が賛同■

 昨年末、新潟県高野連の球数制限の方針が明らかになり、野球ファンや関係者の関心を呼んだ。投球数が100球に達した投手は、それ以降の回で投球できない、というもの。当面は春の大会限定の措置だが、その後の夏の大会につなげる意図も含んでいる。

 同県の「青少年野球団体協議会」が県内チームを対象に行ったアンケートでは、球数制限に肯定的な回答は85%に上った。新潟ではおおむね、受け入れられているようだ。

 背景には、少子化も手伝って野球をする子どもが減っていることへの危機感がある。日本高野連のサイトによれば、硬式野球部の全国加盟校数は2005年度の4253校をピークに年々減少し、本年度は3971校(昨年5月末)。部員数も14年度には17万人を超えていたが、本年度は15万3千人余りとなっている。

 新潟では子どもたちにもっと野球を好きになってもらう活動をしようと、11年に同協議会を設立。球数制限はその一環として、故障予防につなげるために導入する。

 ■小学生から配慮を■

 「勝つことが優先され、子どもの将来がつぶされてしまっている」。1月下旬、プロ野球DeNAの筒香嘉智選手が日本外国特派員協会で会見し、子どもの故障予防について発言して注目された。筒香選手は「小中学生にも肘や肩の故障が増えている」と憂える。少年野球の指導にかかわり、現場をよく知る人だけに重い指摘である。

 小中学生で肘や肩を痛めた選手の46%が後に再発するとのデータもあるという中、全日本軟野連の新方針は大きな前進ととらえたい。これまでも投球回の制限などに取り組んでいたが、今回はさらに、小学生が軟式球でプレーする学童野球に関して▽練習も含め全力投球は1日70球以内、1週間で300球以内▽1日の練習は3時間以内―などに踏み込む。

 一方、日本整形外科学会などは「全力投球は1日50球以内」といった、さらに厳しい制限を呼び掛けている。こうした指摘も踏まえ、継続してよりよい方法を探ってほしい。

 ■議論の材料に■

 球数制限には、慎重な声もある。「好投手を複数そろえる強豪チームが有利となり、格差が拡大する」との意見が代表的だ。相手投手を降板させるため待球戦法を取るチームがあった場合、それを認めるのか、といった問題もある。

 日本高野連が新潟だけで先行することに慎重なのは、こうした課題のためだろう。各種大会日程やトーナメント方式の見直し、といったところに論点が及ぶ可能性もあり、議論に一定の時間が必要なのは間違いない。

 ただ、「もっとデータを集めたいとの意見が多い」(日本高野連事務局長)のであれば、新潟の取り組みは格好の機会になるはずだ。「将来は絶対に踏み込んでいかないといけない話」との問題意識は日本高野連も共有している。せっかく芽生えた議論の熱を絶やさず、成果につなげたい。

関連記事