【越山若水】「10代は、もはや成人」と加古里子さんは思い、同志と感じていたらしい。「世界を平和にするためのささやかな提案」(河出書房新社)と長いタイトルの本に「10代諸士への委任状」と題した文を寄せている▼5項目から成る委任状を反省とともに読んだ。戦争というものから紛争・動乱・内乱などが除かれ、忘れられている、との指摘を見つけたからである▼これら「反平和行為」を戦争から除外して考えてはいけない。呼称にかかわらず全てを調べ、起因・経過・問題を明らかにすることが平和確保の第一歩だと、委任状は説く▼報道では戦争と、その他の紛争などは区別して表記することが通例だ。言葉の定義としてそうする理由はある▼しかし、どう呼ばれようと悲惨な争いなのに変わりはない。いやむしろ一層深刻なことも多い。戦争という言葉を使わないばかりに、どこか軽く受け止められてしまったことが、あったかもしれない▼なぜ「委任」なのか。加古さんがこれを書いたのはおよそ4年前。10代で「未熟・独断・妄想のまま軍人を志した」罪滅ぼしにと約60年続けた思索・行動の結晶である▼世界平和は果たせなかったけれど、「次代の同志への遺言」として記したのである。今は大国が競って軍拡の野心をあらわにし、わが国は手をこまねくばかり。10代ならずとも、かみしめながら受け取りたい。

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