【越山若水】次の漢字をどう読みますか? 「碍子」。人名でなくモノ。もっとヒントをおまけすると、電柱回りの電線に付いている白いアレ。陶磁器や樹脂でできているそう▼年配の方はまだしも、若者はほぼ全滅といったところだろうか。無理もない。戦後この方「碍」の文字を、日本国民はほとんど目にしたことがないはずだから▼「がいし」と読む。碍には行く手を妨げるとの意味があり、碍子は電気を絶縁する器具のことだ。「障碍」と書けば、人が何かをするときに支障となる物事となる▼この障碍の表記を兵庫県宝塚市が4月から、障害者政策などに関する公文書に使い始めるという。つまり、これまでは「障害」と書いていたのを改め「障碍」と記すようにする▼そのどこがニュースかというと、公文書で使う漢字の基準になる常用漢字表に「碍」はなく、全国の自治体で初の決断だというところだ。賛否両論を呼び起こすこともあり得る▼実は国の作業チームが一度、検討したことがある。「碍」を常用漢字表に含めるよう結論づけられれば手っ取り早かったが、先送りしてしまった▼害は「当人に問題があるかのようだ」、碍は「仏教語が転じて霊的障りの意味で使われるようになった」。代表的な見解だけを見ても溝は深そうだ。が、一番の問題はこんな議論が9年も前に行われながら、広く周知されないことだ。

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