【越山若水】これって、食品業界的にも無駄では? ともう7年前に指摘していたのは小説家の柴崎友香さん。節分の風習として豆まき並みに定着しつつあった恵方巻きの話だ▼「よう知らんけど日記」(京阪神エルマガジン社)で、やんわり疑問を投げていた。その当時の高級スーパーでは3千円もする超豪華海鮮巻きが売られていた▼世間はすっかり祭りのようになって、とんかつ巻きやロールケーキまでもが便乗した。そして柴崎さんは大福の恵方巻きなるものを見つけ、こうツッコミを入れた▼「のど詰まるやろ、それは」。あはは、と当方は笑ったが、お上の方は苦々しく見ていたのだろう。農水省は商戦が高まる前の先月、需要に見合った販売をするよう求めていた▼売れ残りが大量に捨てられる現状は目に余るという、実にまっとうな理屈だった。世界の9人に1人が飢えに苦しんでいるといういま、それは正論。でもいささか抵抗があった▼余計なお世話だろう、と。それがきっと民間の多数意見で、当日は何か新手を繰り出すかもしれないと、きのう近くのコンビニをのぞいたら案外おとなしい風景だった▼先の本から逸話を追加。英会話の米国人講師が恵方巻きを「エホウマキ」でなく「アホマキ」と発音してやまないのだという。わざとではないが「踊るあほう」と言われた気になる。揚げ句に叱られバツが悪い。

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