【越山若水】「合」「格」の2文字の中に二つの「口」がある。これは目・鼻・口の「くち」ではなく「サイ」といって、祈りや誓いの言葉を納めた器を指す形。白川静博士による白川文字学の重要な成果として知られる▼福井県立図書館が受験生向けに配っている合格祈願のしおりに、この2文字の説明が書いてある。「合」は、器にふたをして大事にしまっている様子▼「格」のつくりの「各」は器に神を迎える形で、神意が人の言葉を認めた意味になる。ここからは勝手な解釈である。つまり合格とは、積み上げた努力の跡が、ある高みに達したことではないか▼そうとすれば、大切なことが見えてくる。結果も重要だけど、どんなことを納めようと励んだのかこそが、器の価値を決めるだろう▼自身が苦学の人だった白川博士は「道をすでに在るものと考えるのはのちの時代の人の感覚」(文字逍遥)と言う。古代、未知の場所に行くには既存のルートなどなかった▼だから、虜囚の首を携え、呪いの力で身を守りながら切り開くほかはない。それが「道」であり、道とは血路だというのである▼2月を迎え受験シーズンは佳境。学生の皆さんは、器を満たそうと努めているところだろう。そうして過ごす日々そのものに意味があるし、その挑戦を続けていればきっと道は現れる。風邪などには十分気をつけつつ、励んでほしい。

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